王様に真実を伝えない部下たちは、真面目で忠実かもしれないが、王様の権威を失墜させる役割を果たしている。一方、子供を不真面目な部下だとすると、彼は王様に真実を伝え、王様の目を覚まさせるのだ。

 不真面目社員、それは自分の頭で考え、責任を持って発言する社員のことだが、そんな人が一人でもいれば、会社は不祥事から回避され、業況の悪化からも免れることができるだろう。

「尾生・孝己の行ありて、而して勝負の数に益なくば、陛下なんぞこれを用うるに暇あらんや」(史記・陳丞相世家)

 これは漢の高祖劉邦に仕えた陳平に関するエピソードだ。陳平は、知謀、策謀に優れた人物だが、周囲から妬まれ讒言(ざんげん)が劉邦の耳に入った。その時、魏無知という陳平を劉邦に紹介した人物が、劉邦に言った言葉だ。

 魏無知は、劉邦に「陳平の才能を評価して、雇ったはずじゃないですか」と問いかけ、「くそ真面目な尾生・孝己みたいな奴を雇ったって、戦争には勝てません。(勝負の時に)そんな奴を雇う暇なんかありません」と言ったのだ。

 劉邦は、この諫言を聞き入れ、陳平を用いて、漢を統一した。

くそ真面目の代名詞

 ここで注目は「尾生」という人物だ。

 彼は、春秋時代の魯の人。女性と橋の下で密会を約束したが、女が姿を現さない。その間に川が雨で増水した。それでも彼は橋げたにしがみつき女性を待った。その結果、溺れて死んでしまった。「尾生の信」といい、命を懸けて約束を守ったと尊敬されている一方で、くそ真面目の代名詞にもなっている。

 尾生のような人物ばかりがいると、会社が不正にまみれたり、傾いたりするに違いない。