バーチャルな世界にリアル世界が浸食される、という怪奇現象も起きているようだ。

 3.11で利用者が一気に増えたソーシャルネットワーク(SNS)。ニールセン・ネットレイティングスの調べ(※)によると今年5月の月間利用者数(家庭と職場のPCからアクセス)はツイッター(Twitter)が約1467万人、ミクシイ(mixi)が1286万人。一方、フェイスブック(Facebook)は820万人だが、前者2つに比べると伸び幅も大きく、今後ますます浸透していきそうな気配だ。(※「2011年5月の主要SNSサイトの動向」*「利用者数」は対象サイトの訪問者数で、会員数や登録者数ではない。*MacOS用アプリケーションならびにスマートフォン用アプリケーションは含まない)

 震災以来、以前にもましての他者との絆を渇望する人が増えた。だからこそSNSは今、手放すことのできないコミュニケーションツールになりつつある。その一方、SNSに振り回されてしまう困った事態も多発しているようだ。

 広がるSNSに潜む意外な落とし穴について、取材してみた。

今回のお題
「急増するSNS利用者。
あなたもハマってみる? それとも距離を置く?」

「投稿履歴を見られている!」
女性部下がぞっとしたトンデモ上司

 某大学に勤務している加藤綾子さん(仮名・31歳)はフェイスブックユーザーだ。昔の同級生と旧交を温めたり、趣味のパン作りの話で友人と盛り上がったり。いろいろな職業、立場の人びととコミュニケーションすることで視野が一気に開け、毎日が楽しくなった、と感じていた。ところがある日を境に状況は一変する。

 きっかけは、日ごろ敬遠している職場の上司が「友だち」申請してきたこと。多くの人が実名で登録するフェイスブックでは、検索すれば簡単に知り合いを発見でき、情報交換できる「友だち」申請をすることができる。立場上、無視することもできず、しぶしぶ承認した加藤さんだったが、案の定、困った展開となった。