これはアメリカのみならず、欧州主要国や日本でも共通のトレンドだと思う。

 自動車産業における優秀な人材の不足は今後も続くのだろうか?

「100年に一度」なんて大げさ?
トップから現場へ危機感伝わらず

 若い世代が自動車産業に魅力を感じないのは、彼らが「自動車産業は落ち目だ」と思っているからだ。自動車メーカー各社トップ自らが「100年に一度の時代変革」とか「いま我々は時代の崖っぷちにいる」といった主旨の発言をするのだから、若い世代に「これから先、この産業は落ち目になる危険性が高い」と思われても致し方ない。

 自動運転化、パワートレインの電動化、通信によるコネクテッド化という3つの技術領域に加えて、シェアリングエコノミーの台頭によるクルマのモビリティ化が進む中、機械屋が中心の自動車産業界がITクリエイターの世界へと大きく変貌する必要がある。

 そうした自動車産業の将来がはっきり見えない時に、わざわざ大変な思いをしてまで自動車産業で働きたくないと思う若者が多いのは当然だ。

 それでもなお、自動車メーカーが今後の事業存続をかけて優秀な人材を確保したいと思うのならば、自動車メーカーで現在働いている社員一人ひとりが「100年に一度の時代変革」に対する強い危機感を共有し、変化を恐れずに前進しようという強い意志を示すべきだ。

 ところが、現実はそうではない。

 自動車メーカーのトップは必死で危機感の共有を叫ぶが、仕事の現場では「3年後に量産する次期車両の開発」や「来月の販売目標達成のための営業」といったルーティンワークをこなすのが精一杯であり、自らの手で「100年に一度の時代変革」を起こそうという野心をむき出しにするような社員はまずいない。そうした社員たちが思う存分活躍できるような社内体制を整えている自動車関連企業にも、未だにお目にかかっていない。

 筆者は定常的に、複数の自動車メーカーや自動車大手部品メーカーの社内向け意見交換の場、また新規社員採用に関する協議の場などに出席しており、そうした立場でそう感じるのだ。