「Start Your Impossible(不可能のチャレンジへ一歩踏み出そう)」。今年初めに、米ラスベガスで開かれた家電見本市「CES」の壇上でこう高らかに宣言したのは、シリコンバレーのIT企業トップではなく、トヨタ自動車の豊田章男社長だった。
豊田氏はカーレーサーとあって、有名なレース「インディ500」のレース直前にアナウンスされる“Start Your Engines!”をもじったのであろう。
このスピーチは、これからの自動車産業が激変することを指し、そしてトヨタがその“激変レース”に参戦するという意思表示であった。豊田氏は続ける。
「私はトヨタを、車会社を超え、人々のさまざまな移動を助ける会社、モビリティーカンパニーへと変革することを決意しました。(中略)私たちの競争相手はもはや自動車会社だけではなく、米国のグーグルやアップルあるいはフェイスブックといった企業です。自動運転車やさまざまなコネクティッドサービスに必要なモビリティーサービスプラットホームをつくる会社になります」