JR新宿ミライナタワー改札から15秒! 夏は神宮外苑の花火大会、冬は日本一高い富士山の雪化粧が見られる10階の一等地。ここに15年連続増収の株式会社武蔵野がセミナールームを開いたのは2017年2月。あれから1年弱……。社長の小山昇氏を直撃すると、「新卒説明会にも前年比2.36倍の1020名がきて、どんどん採用できる。しかも辞めない」という。JR新宿ミライナタワーの家賃は「月500万円」。ここだけで年間6000万円にもなる。
小山氏が社長に就任した1989年の売上が7億円だったが、直近では63億円に達した。
実に28年間で売上を「9倍」にした“経営のカリスマ”は、なぜこれだけの大金を1ヵ所に投資したのか?
全国700社以上を指導し、倒産企業ゼロ、5社に1社が過去最高益、自社も日本初の「日本経営品質賞」2度受賞、15年連続増収の小山氏が、創業以来最も大切にするのが「数字は人格」という経営哲学だ。
発売たちまち重版が決定した話題の『数字は人格――できる人はどんな数字を見て、どこまで数字で判断しているか』に関して、「書いてはマズイ全51社のエピソードと、99%の社長が勘違いしている“人を育てる数字・ダメにする数字”を書き尽くしてしまった。“数字は人格”には魔力がひそんでいる」と小山氏。
企業の不正発覚が相次ぐ中、なぜいま「数字は人格」なのか?
全国を飛び回っている分刻みのスケジュールの小山氏をついにつかまえた!(構成:寺田庸二)。

全社共通の言語・道具で

「数字を見るのもイヤ!」<br />という娘や社員を<br />数字好きにする方法 小山 昇(こやま・のぼる)
株式会社武蔵野代表取締役社長
「大卒は2人だけ、それなりの人材しか集まらなかった落ちこぼれ集団」を15年連続増収の優良企業に育てる。「数字は人格」をモットーに、700社以上を指導。5社に1社が過去最高益、倒産企業ゼロとなっているほか、年間240回以上の講演・セミナーを開催。日本で初めて「日本経営品質賞」を2回受賞(2000年度、2010年度)。2017年にはJR新宿ミライナタワーにもセミナールームをオープンさせた。『朝30分の掃除から儲かる会社に変わる』『強い会社の教科書』『【決定版】朝一番の掃除で、あなたの会社が儲かる!』『1日36万円のかばん持ち』『残業ゼロがすべてを解決する』などベスト&ロングセラー多数。

 社員に数字について教えるときのコツをいくつか紹介しましょう。
 まず、概念で教えてはダメです。

 私は小学校低学年のとき、100まで数が数えられませんでした
 10や20ならいいですが、70とか80になると現実的にイメージできなくて、頭がパンクしました。

 その反省に立って、娘には硬貨を使って数を教えました。
 1円玉10枚と5円玉2枚、10円玉10枚、50円玉2枚を用意して、100円までの金額を硬貨で示した。

 目に見える具体的なモノを使ったので、娘はすぐに出し方を覚えました。

 最初は丸暗記に近い。
 しかし、しばらくすると自分で法則性を導き出して、応用を利かせるようになります。
  100円玉や500円玉、さらにお札を出して、「1240円は?」と聞いても難なく対応します。

 私は具体的なモノを飛ばして、いきなり抽象的な概念として数を理解しようとしたからいけなかった。

 人間は、具体的に想像できないものは理解できません。
 抽象的な概念を理解する必要があるとしても、まず具体的な事例を知り、そこから抽象的な概念を導き出す手順でないとダメです。

 会社にまつわる数字を教えるときも同じです。
 帳簿上の概念を先に覚えさせようとしても無理です。

「あなたの給料は経費から支払われる」
「あの材料を10%高く仕入れると、利益がこう変わる」

 と、社員の具体的な仕事と絡めて教える。

 社員教育には、全社で共通の言語、共通の道具が必要です。

 ある概念を理解させるとき、日本語と英語、あるいはほかの外国語で教えた場合では、伝わり方や解釈に微妙なズレが生じます。