需要項目別に見ると、私達が実感しやすい個人消費は、緩やかに増加しているか、持ち直しているとの判断が大半です。また、雇用・所得も増加基調にあるか、改善しているといった前向きな判断がほとんどです。先日、日本経済新聞社が発表した2018年の賃金動向調査の1次集計では、平均賃上げ率が2.41%と1998年以来20年ぶりの高さとなったことなどが報じられており、雇用・所得環境は過去と比較しても良好と言えそうです。

日銀短観では大企業の景況感が8期ぶりに悪化

 一方、「さくらレポート」に先立って4月2日に発表された「日銀短観」では、代表的な指標である大企業・製造業の景況感が8四半期ぶりの悪化となりました。「日銀短観」とは、日銀が金融政策運営の参考にするため、3ヵ月に1度、約1万社の企業に行う「全国企業短期経済観測調査」のことです。景況感のほか、企業の売上、収益、設備投資計画、雇用などの状況判断も発表されます。
 
 前述の大企業・製造業の景況感を示す業況判断指数(DI、(1)良い、(2)さほど良くない、(3)悪いの3つの選択肢の内、(1)良いの割合から(3)悪いの割合を控除)は前回調査から2ポイント低下の24と、8四半期ぶりの悪化となりました。ただし、製造業・非製造業、大企業・中堅企業・中小企業のいずれにおいても6割程度が(2)さほど良くない、と回答しています。また、3ヵ月後の先行きの業況判断DIは現状から4ポイント低下が見込まれています。
 
 今回調査の回答期間は2月26日~3月30日で、今年になって進んだ円高・株安の影響が注目されていました。2017年末のドル円レートは112円程度でしたが、調査回答期間中には一時104円台となり、足元では107円程度となっています。注目される大企業・製造業の2018年度の想定為替レートは1ドル=109円66銭と、足元よりやや円安水準であり、円高が進むと業績見通しの下振れが懸念されます。

素材や電機、ガスなどの業種では“販売価格”の値上がりも

「日銀短観」では、別途、「企業の物価見通し」も公表されています。これによると、企業の“物価全般”の見通しは、1年後が0.8%、3年後が1.1%、5年後が1.1%と、前回12月調査からは横ばいでした。というより、ここ2年程、企業のインフレ期待はほぼ横ばいで変化はありません。

 一方、企業の“販売価格”の見通しは、1年後が0.7%、3年後が1.2%、5年後が1.4%と、1年後については3四半期連続、3年後と5年後については2四半期連続で上昇しています。ただし、その変化率の水準は低く、業種ごとに見ると素材関連や電気・ガス、企業向けサービスといった一部の業種に偏っています。身近なところで様々な値上がりは起こっていますが、今後物価はどのように変化していくのでしょうか?