4月18~19日、日米首脳会談が行われ、トランプ大統領から「対日貿易赤字の均衡を達成したい」との要求があったと報道されている。ちなみに、その直前の4月13日には、米財務省が貿易相手国の通貨政策を分析した半期為替報告書を公表し、対米黒字の大きな日本を引き続き「監視リスト」に指定した。
日本にとって厳しい要求だという見方もあるが、筆者は楽観的である。その理由を説明していこう。
30年前の日米関係と
状況が全く異なる
一定以上の年齢の経済人は、「日米貿易摩擦」の記憶が鮮明であろう。バブル期前後には、米国の最大の脅威は日本経済であったから、米国のフラストレーションがたまり 、思い切った“日本たたきが行われていた。日米貿易摩擦と聞くと、あれが再来するのかと身構える人も多いだろう。
しかし、米国の視点で見ると、当時と今では全く様相が異なっている。
今は日本経済は脅威ではない。当時のように「日本経済は米国経済に勝った。21世紀は日本の時代だ」といった雰囲気は(筆者には残念なことだが)皆無だし、日本からの輸出攻勢も見られない。日米貿易摩擦に懲りた日本企業が、米国での現地生産などに切り替えを進めたためである。