シリコンバレーに情報収集に来る日本企業って?新しい時代の事業創造において、まず「情報収集」を目的にするという考え方そのものが間違っているではないでしょうか

 最近、シリコンバレーに赴任してきた日本企業の駐在員の方にその目的を聞くと、ほとんどの場合「情報収集です」と答える。最近では「新事業のネタを探索に来ました」という方が増えているが、やることは基本的には情報収集である。

 日本で通常の業務をしていた方が異国の地で、しかもシリコンバレーで急に情報収集しろ、といわれても困るだろう。その苦労は並大抵ではない。

 シリコンバレーの日本人コミュニティーで催されるイベントに顔を出し、インターネットで情報を探索し、運が良ければ日本語での記事を読む。やる気のある駐在員は地元のカンファレンスに参加し、講演者のスライドを片っ端から撮影してくる。こうして入手したデータや情報をメモにして日本に報告するのである。

 だが、「情報収集」が目的の駐在員の悩みは深い。苦労して作成した報告書が、日本ではブラックホールに吸い込まれるように消えてしまうのだ。日本の本社に何かを提案しても「忙しいから」と検討すら後回しにされることも多い。

 一方で最近は、このような駐在員の情報収集活動に対して、「目的意識なしでのミーティング依頼を控えろ」や「相手の時間も尊重せよ」などという批判が、現地に根を張る日本人ビジネスマンや大学関係者から相次いでいる。だからといって、駐在員が現地のインナーサークルに簡単に入れるわけではない。八方ふさがりなのだ。