◆アマゾンの物流を支えるビジネス展開
◇長期視点に立った投資とビジネス展開

 アマゾンでは新事業の展開においても、長期視点に立っている。現場のマネージャーレベルにまで話が共有されているような新規ビジネスの話も、何年も経ってから世間に公表されるといった状況が、アマゾンでは普通のこととなっている。これはビジネスの展開が遅いということではない。かなり早い段階から新しいビジネスの展開を見据えて、長期視点で投資や準備を進めていることの表れといえる。これがアマゾンを強大にしている要因の1つだ。

 長期的に見て必要なビジネス、見込みのあるビジネスについては、短期的に赤字が続いても改善しながら継続していく。例えばKindleのビジネスは、今も黒字化されていないが、アマゾンにとって必要なビジネスとして継続されている。

 アマゾンは、ロボットを使った倉庫運営やドローン配送、AIスピーカーのAmazon Echoなど、新しい技術を使ったサービスや取り組みばかりが目立っている。一見派手な新規ビジネスを次々に打ち出しているように見えるが、実は何年もかけてじっくりと事業を準備するケースが多い。

 こうした経営手法が、アマゾンにしっかりと根付いている。ベゾスはいまなお現役のトップではあるが、おそらくトップが交代したとしても、長期視点での経営は踏襲されることだろう。

◇アマゾンに集まる一流の人材

 アマゾンには、他の会社ではできない面白い仕事ができるという理由で、一流の人材が集まってくる。特徴的なのは、新しいことにチャレンジできる土壌があるという点だ。日本企業では、「前例がない」「日本の商習慣に合わない」といった理由で、ロジカルな経営判断がされない場合がある。しかし、アマゾンにおいては、数値やデータをもとに提案し、周囲を説得できれば、オペレーションに反映される場合がほとんどである。

 優秀な人というのは、変化を求め、まだ世界にないものを作ってみたいという人が多い。そうした人材にとっては打ってつけの環境といえるだろう。

 また、アマゾンにおいては、人が手作業で行ってきた業務が次々にシステムや機械で自動化されることが日常茶飯事だ。だからこそ、人間としての自分の存在意義を見出すために、仕事を見つけ出し、常に自らを変化させることが求められている。

◆日本企業はどうアマゾンに対抗すべきか
◇日本においての物流課題

 多くの日本企業には、アマゾンに匹敵する物流システムを作れない理由がある。それは物流に大きな投資ができないという点だ。

 前述のように、アマゾンは物流システムの構築に、何年もかけて大きな投資を行ってきた。それは、物流の重要性を経営陣が認識し、コミットしているからだ。これに対して、多くの日本企業は物流部門を単なるコストセンターと捉えている。物流には人件費をかけず、つつがなく回すことが良い経営だという認識なのだ。

 しかし、アマゾンの登場により、配送スピードや品質への顧客の期待値は大きく上がっている。そのため、アマゾンと競合する企業は、それに匹敵する物流システムを構築しないわけにはいかなくなっている。また、経営やシステムに理解があり、物流を支える人材の不足も、日本企業の大きな課題といえる。