アマゾンvs国内流通、最後の戦場「生鮮食品」を制するのは誰かPhoto:REUTERS/AFLO

セブン&アイ・ホールディングスはアスクル、米ウォルマート傘下の西友は楽天との連携、さらにイオンはソフトバンク・ヤフー連合との連携を検討しているとの報道――。最近、リアルの小売業大手とネット通販企業の連携が活発だ。もちろんどこもアマゾン対策であることは間違いないが、実はそこには商品特性上、最も取り扱いが難しいとされる商品をめぐる争奪戦が潜んでいた。(流通ジャーナリスト 森山真二)

生鮮食品を制する者は競争を制す
コンビニにとっても生鮮食品は“聖域”

「生鮮食品を制する者は競争を制す」――。

 かねて小売業界でいわれてきた金言である。それほど生鮮食品の取り扱いは難しく、逆にいえば利益率も高いからである。

 生鮮食品の難しいところは、いわば見切り処分と廃棄処分をいかに抑えるかにかかっている。例えば価格500円の刺し身も、この価格で売れれば500円の売上高と相当程度以上の利益が取れる。

 しかし、売れ残って見切り処分したり、売れずに廃棄ということになれば利益どころか、原価分がマイナス、赤字として計上されるのだ。

 青果、精肉は鮮魚と違って販売期間が多少長い分、販売予測、仕入れの難しさは鮮魚ほどではないが、鮮魚はその日に捌いた商品はその日に売り切るのが原則で、その足は生きているかのように早い。

 1日でどれだけ売れるか否かの需要予測をしっかりやらないと、見切り・廃棄処分の山を築くのである。なんともリスキーな商品である。