インバウンド(訪日外国人)の増加で観光業界には追い風が吹いているが、その一方で人手不足や客室単価の伸び悩みなどの問題も抱えている。藤田観光の瀬川章社長に現況を聞いた。
──昨年4月に開業した「箱根小涌園 天悠」は、人手不足から立ち上げが遅れました。
「箱根ホテル小涌園」の閉館と天悠の立ち上げが同時進行となり、ホテル小涌園に予想以上にお客さまが殺到しました。当初は、ホテル小涌園の清掃スタッフに天悠に来てもらう計画でしたが、スタッフには高齢の方が多く、これを機に引退したいという人も出ました。結局、人材を十分に確保できず、天悠の稼働を半分に落としてホテル小涌園の運営を優先しました。
天悠は今年に入ってからは軌道に乗っており、客室単価も計画を上回っています。
──清掃スタッフが不足?
都内はまだ時給を上げれば集まるのですが、地方ではそもそも人がいないのですから深刻です。箱根は新しいホテルや旅館が続々オープンしたことから、人手の取り合いです。
外国人労働者についても、清掃やレストランのサービスは単純労働と見なされており、海外から働きに来てもらうという選択肢も現状ではないのです。
──インバウンドは増えているのに、都内の客室単価は頭打ちという状況をどう見ていますか。