拙著『「中国全省を読む」事典』(新潮文庫)では、武漢を次のように紹介した。

「地理的に交通の便のいい武漢は19世紀半ば頃から、英、仏、帝政ロシア、ドイツ、日本の租界となり、近代産業の発祥の地となった。早くから開発が進められた結果、同省は鉄鋼、機械製造、冶金、造船、自動車製造、紡績などの工業基地であった」

 しかし武漢は内陸地のため、改革・開放の波に乗り遅れて地盤沈下が甚だしく、いつの間にか中国主要都市の前列から消えた。湖北省も、人々の意識の中でごく普通の省の一つに格下げされてしまった。

 しかし近年、武漢および湖北省の追い込みは凄まじいものだった。中国版新幹線である高速鉄道と空路の整備により、武漢は中国中部をカバーする“交通と物流の要衝”という地位を取り戻しつつある。

1兆円あまりを投じて
整備進む順豊国際空港

 それだけではない。武漢から80キロメートルぐらい離れた鄂州という町に、昨年12月から総投資額610億元(約1兆439億円)を投じて、総面積75平方キロメートルの順豊国際空港(工業団地を含む)の建設が進められている。貨物をメインとするこの空港の貨物取扱量は、2025年に245万トン、2045年には765.2万トンを計画している。

 この順豊国際空港が完成した暁には、武漢は北京、上海、成都に続いて二つの大型空港を持つ4番目の都市となる。しかも、その規模は世界ランキング4位で、アジア最大を誇る存在となる。そうなると、武漢は間違いなく中国の“主要交通センター”になるだろう。

 こうした将来への期待にも胸を膨らませながら、昨年8月31日に完成したばかりの武漢天河空港第3ターミナルに到着し、出国手続きを済ませてラウンジへ入った。そこで予想もしなかったことに遭遇し、今回の視察で最悪のサービスを体験してしまった。