起業家精神が
深センをリードしてきた

 確かに、深センに自由を与えたのは中央だ。鄧小平の改革開放がなければ今の深センはなかった。だが、その改革開放は、細かいところまで全て鄧小平が考える、というものではなかった。実際に考え手を動かしたのは、中国各地から深センに集まった起業家精神あふれる移民たちだ。

 改革開放博物館の「結論」のパネルには、「改革のための試験場」と呼ばれた深センで、蛇口の人たちが経験もリソースもない中、タブーや常識にとらわれず考え、トライし、結果を話し合い、再度トライし続けたことが今の発展を生み、その起業家精神が中国全体に波及しつつあることが高らかに語られている。

 この連載で何度も取り上げているように、今も深センは中国でもっとも大胆に各種の実験が行われ、再修正も行われる場所だ。そのトライアル&エラーを、特にエラーを許容することがいかに重要かを、この改革開放博物館は改めて示してくれている。

「起業家精神が深センをリードした。蛇口はそのなかでも最先端の位置にあった。今では中国全体に波及したので、蛇口の第一歩は記録されるべきものだった」と最後のパネルは告げている