また、日本を代表するビリオネアといえば、ソフトバンクの孫正義氏がいますが、孫氏も2016年に1200億円、2017年に数億円の追加投資を宇宙ビジネスに行っています。もっとも孫氏にしてみれば、宇宙への投資というよりも、通信インフラへの投資という認識でしょう。
しかし、2016年になって、孫正義氏の名前が突然、宇宙ビジネスへの投資家として出てきて、世界の宇宙産業界は騒然となりました。
宇宙産業への投資ではケタ違いの金額です。グーグルがスペースXの小型衛星事業に約1000億円の投資をしましたが、そんな巨大な投資が日本から出たのです。
投資元になるのは、自らつくった10兆円ファンドです。
投資先はアメリカのワンウェブです。700機の小型衛星をコンステレーションさせる通信事業を進めていますが、この企業は大企業とのグローバルな戦略的パートナーシップの成功例としても大きな注目を浴びています。
宇宙産業界からはエアバス、インテルサット、ヒューズ、アリアンスグループ、ヴァージン、宇宙産業外からはクアルコムや、コカ・コーラも入っています。世界的な企業のCEOたちがずらりと並んで記者会見をしたニュースは、宇宙ビジネス業界では大きな驚きを持って受け止められました。
今後は、こうしたベンチャーと既存の大企業、異業種や大資本との連携も大きく拡大していくことになるでしょう。
宇宙ビジネスは大きな可能性を秘めています。今後の産業変化やそのインパクトについては、『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』に詳しく書いていますが、未来への投資として、今、ビリオネアからベンチャー企業までが宇宙に熱い視線を送っているのです。
(この原稿は書籍『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』から一部を抜粋・加筆して掲載しています)