スペースXのイーロン・マスクより2年早い2000年、アマゾン創業からわずか6年後に、ジェフ・ベゾスは宇宙ビジネスに参入した。イーロン・マスクと違い、水面下で事業を進めていたジェフ・ベゾスは、虎視眈々と何を狙っているのか? 清水建設宇宙開発室、JAXA出身の宇宙ビジネスコンサルタント・大貫美鈴氏の新刊『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』から、内容の一部を特別公開する。

極秘で進められていたジェフ・ベゾスの宇宙計画
巨人アマゾンが狙う未開拓の「100万人経済圏」

 宇宙ビジネス業界には、イーロン・マスクと常に対比される、もう一人のキーマンがいます。それがインターネット通販大手、アマゾン・ドット・コムの創業者である、ジェフ・ベゾスです。

 アマゾン創業者と宇宙ビジネスのつながりには、どうにもピンとこないと感じる方もいるかもしれません。アメリカでも広くその事実がはっきりと知られるようになったのは最近のことだからです。

 それまで、ジェフ・ベゾスが宇宙ビジネスに関わっていることはオープンにされていませんでした。2013年になって初めて、工場がメディアにも公開されたことがきっかけとなり、アメリカでも多くの人が知ることとなりました。

 1964年生まれのジェフ・ベゾスが宇宙ビジネスに参入しようと、航空宇宙企業ブルーオリジンを立ち上げたのは、2000年。アマゾン創業が1994年ですから、わずか6年後ということになります。

 ネット通販と宇宙ビジネスは、なんとも飛躍しているように思えますが、ジェフ・ベゾスにとっては、双方ともに未開拓の分野。これから大きな成長が見込まれると考えていたのだと思います。そして、何よりも宇宙が好きでした。

 ジェフ・ベゾスの宇宙へのビジョンは「100万人が宇宙に住んで働く」ことで、地球経済圏をさらに大きくし、宇宙経済圏に拡大していきたいというものです。人類が宇宙に行くことが、ゲームチェンジングをもたらすという信念を持っています。

 イーロン・マスクがスペースXを立ち上げる実に2年前、2000年から宇宙ビジネスに取り組んでいたジェフ・ベゾス。両者の大きな違いは、イーロン・マスクが大きく夢をオープンにしたのに対して、ジェフ・ベゾスは水面下で取り組みを進めていたことです。

 宇宙ビジネス業界で知られるようになったのは、2006年、連邦航空局(FAA)に認可を得て、私有地であるスペースポートでサブオービタル試験機「ゴダード」の飛行実験をしたときでした。