日本で小惑星というと「はやぶさ」の活躍で広く知られるようになったが、「小惑星の資源利用」と言われてもピンと来ないのが実情だろう。しかし宇宙の「位置」や「環境」を利用するビジネスとともに、小惑星の「資源」を採集してその「エネルギー」を活用するビジネスが、すでにスタートしている。グーグルが「宇宙の未来だ」と評する「小惑星捕獲ミッション」とは何か?清水建設宇宙開発室、JAXA出身の宇宙ビジネスコンサルタント・大貫美鈴氏の新刊『宇宙ビジネスの衝撃――21世紀の黄金をめぐる新時代のゴールドラッシュ』から、内容の一部を特別公開する。

グーグルCEOや前会長が
「宇宙の未来だ」と評したこととは?

 宇宙を使えば、どんなことができるのか。宇宙の「位置」や「環境」を利用したビジネスとともに、宇宙の「資源・エネルギー」利用があります。宇宙の資源を採集して利用する、エネルギーを活用する発想が現実のものになりつつあります。

 宇宙空間での鉱物資源で、まずターゲットになったのは小惑星でした。小惑星は月や火星の重力天体と違い、そこに有人宇宙基地をつくるという概念はありません。小惑星に人が住むというのは現実的ではありませんが、小惑星の希少鉱物資源の利用に関心が高まっています。

 例えば、小惑星を丸ごと月の近くまで運んで、月面基地でその資源を活用する。そんな「小惑星捕獲ミッション」とでも言うべきプランがありました。NASAでは実際に小惑星の表面だけを砕いて捕獲するのか、丸ごと捕獲するのかなど、いくつかのプランが存在していました。

 宇宙の資源に関しても、民間のビジネスがすでに始まっています。小惑星の資源を採掘する鉱業を実現し、地球の天然資源を拡張するというミッションを掲げているのが、アメリカのプラネタリー・リソーシズです。

 2012年にスタートアップしたプラネタリー・リソーシズでは、資源利用の対象となる小惑星を絞り込むための資源探査用の小型宇宙望遠鏡の開発から始めました。

プラネタリー・リーソシズによる小惑星の資源活用
出典:http://sqmagazine.co.uk/2012/04/comment-space-mining-realistic-or-out-of-this-world/

 小型宇宙望遠鏡で、地球や月の近くにやってくる小惑星を観察。これによって、資源が採掘できそうな小惑星を探します。その後、小型衛星で狙いを定めた小惑星を詳細に観測したり、サンプルを採取したり、大きな無人宇宙船を送って採掘を行うという計画です。

 この計画には、グーグルのCEOのラリー・ペイジや前会長のエリック・シュミットから出資が行われています。彼らはプラネタリー・リソーシズの活動について「宇宙の未来だ」と評しています。