国内製薬最大手の武田薬品工業が、アイルランドのバイオ医薬大手シャイアーの買収で合意した。買収金額は約7兆円で、日本企業の海外企業買収で過去最高。世界の製薬会社の売上高トップ10入り、すなわち日本発のメガファーマ(巨大製薬会社)が誕生する。日本の王者、武田薬品は何を目指すのか。 (「週刊ダイヤモンド」編集部 土本匡孝)
国内製薬最大手の武田薬品工業がアイルランドのバイオ医薬大手シャイアーのM&A(企業の合併・買収)を検討していると表明してから約1カ月半。他社も買収に一時意欲を示すなどして世界で注目を浴びた買収劇はフィナーレを迎えた。
武田薬品は8日、約7兆円でシャイアーの全株式を取得すると発表した。買収完了は2019年上期の予定で、日本企業による海外企業買収案件としてはソフトバンクグループの英半導体設計アーム・ホールディングス買収(約3兆3000億円)を抜き過去最高額。
両社共に製薬会社の売上高で世界20位前後。売上高を単純合計すると約3兆4000億円(下左表参照)になって世界トップ10入りし、日本発のメガファーマ(巨大製薬会社)が誕生する。
買収対価は上表のように、シャイアー1株当たり48.17ポンド相当(現金30.33ドルと自社新株0.839株もしくは自社米国預託株式1.678単位)。5回目の提案から額が下がったように見えるが、武田薬品の株価と為替レートが共に変動したためで、提案内容は同じ。日本での上場株の代わりに米国預託株式で受け取るという選択肢が新たに加わった。