「ジャンクライト」の光で健康が悪くなる
今日、僕らはかつてないほど不自然なスペクトルの光──これを「ジャンクライト」と呼ぶ──にさらされている。
ふだん家や会社などの室内であなたが浴びている「白色LED」や「電球形蛍光灯」などの新しい人工光には、体と脳に必要な太陽光の周波数の多くが欠けている。人工光では自然の太陽光に見つかる赤外線、赤色光、紫色光が除去されてしまっている。そして青色光(ブルーライト)を僕らが対処できる以上に強化してしまった。
僕らは電気を節約できるエネルギー効率の良い照明を創出することで長足の進歩をとげたが、皮肉にもその同じイノベーションが僕らのミトコンドリアのエネルギー危機を招いている。これぞジャンクライトだ。
ちょうど僕らが自然をいじくりまわし、食物をちょっと変えてジャンクフードを生み出したときに図らずも健康を台なしにしてしまったように、いま、僕らは自然の光源をちょっと変えてジャンクライトを生み出すことで、自分たちの生体を台なしにしている。そしてミトコンドリアはそんな光の中で進化してきたわけではないから、この状況をうまくしのげていない。
あなたがジャンクライトについて聞くのはこれが初めてかもしれないが、この状況については、何十年も前から一握りの人たちが声を上げてきた。ジョン・オットという研究者は1961年に一定の周波数の光の危険を発見して以来、警鐘を鳴らしてきた。
ベストセラー著者のT・S・ワイリーも15年ほど前にその著書『眠れない人は太る、病気になる』で質の悪い光が健康に及ぼす危険について警告している。僕は幸いにも出版直後に著者本人から一冊いただいていて、その内容に非常にショックを受けた。しかし、どういうわけか、この情報はまだ主流にはなっていない。
僕が最初に光の周波数とその生体に及ぼす影響について気づいたのは、もっと前だった。10代のころ、スキッピーと名づけたイグアナを飼っていたのだが、彼は一定のスペクトルの光を浴びせていないと死んでしまうと聞いていた。自然の日光は大丈夫なのだが、屋内では特殊な爬虫類向けの紫外線がなくてはならなかった。
当時僕は、ヒトと爬虫類はずいぶん違うんだなと思いつつ、なぜ僕らにはそれほど光が重要じゃないのかと不思議に感じたが、ヒトが爬虫類よりずっと進化しているせいだと考えた。だが本当は、僕らとスキッピーは大差がなく、違いは「自分たちのほうがずっと進化している」と考える能力だけだった!
光は人間にとって非常に重要だが、この5年ほど前まではそれがどれほど重要かも、ミトコンドリアのためだということもほとんど知られていなかった。