「紫外線」が体内時計を整える

 僕らは細胞とミトコンドリアの中に日光を吸収するよう進化した。だが、エネルギー節約という善意の探求から、不運なことに、人体が認識しない周波数を混合した人工の光を生み出してしまった。

 僕らは赤外線を排除した。赤外線は可視光線(肉眼で見られる電磁スペクトル)の赤色光のすぐ外側の波長だ。赤外線は目に見えないが感じることはできる。熱として体感するのだ。太陽スペクトルの不可視光線の一部で、ほとんどの生物に必要だ──人間のミトコンドリアも含めて。

 過去30年には歴史上で初めて、紫外線A波(UVA)と紫外線B波(UVB)の光が完全に避けられだした。これらの周波数の電磁波は太陽から届き、生物学的な影響を与える。僕らはいまこれらの電磁波を、どこにでもある紫外線カットの窓、フロントガラス、サングラスなどでブロックし、日焼け止めを塗って防いでいる。そしてそのことは、光をとりいれる器官は目だけではないから、全身に影響を与えている。

 人体最大の器官──皮膚──もまた、光を細胞とミトコンドリアに吸収する。あなたの祖父母の時代には紫外線カットのガラスもなく、いまの子どもほどサングラスをかけず、日焼け止めも塗らなかったが、それでも現代の僕らより皮膚がんは少なく、ミトコンドリアの機能は優れていた。

 たしかに一部のUVAとUVBを除去するのにはもっともな理由がある。紫外線は強力で、がんとの関係を心配するのは正しい。皮膚をさらしすぎると日焼けになり、がんを生じるおそれがあるし、目をさらしすぎると永久的なダメージを受けることもある。屋内にある家具や工芸品を退色すらさせてしまう!

 UV光の浴びすぎが悪いのなら、完全に遮断するべきだと考えるのは自然なことだ。そして僕らは広くそうしてきた。しかし実際には、体がきちんと機能するためには一部のUV光が必要だ。UVBは体内のビタミンDを活性化し、概日リズム(体内時計)──いつ眠っていつ目覚めるかを体に告げる生理学的なプロセス──を整えるのに不可欠だ。

 僕がマサチューセッツ工科大学の上級研究員ステファニー・セネフ博士にインタビューしたとき、彼女は、UVBは皮膚に当たったときにビタミンDを活性型の硫酸型に変換するのだと説明した。したがって、ビタミンD3のサプリメントを口に放り込むだけでは不充分だ。ビタミンを活性化するためには本物の太陽光(または高品質のUVBランプ)に当たる必要がある。

(本原稿は『HEAD STRONG シリコンバレー式頭がよくなる全技術』よりの抜粋です)