「週刊ダイヤモンド」5月19日号の第1特集「20年後も医学部・医者で食えるのか? 医歯薬看の新序列」では、腕一本勝負で年収3000万円を稼ぎ、「私、失敗したら辞めるので」を掟とするフリーランス麻酔科医の筒井冨美医師が医療現場のリアルを赤裸々に明かした。そのスピンオフ企画としてダイヤモンド・オンラインでもぶっちゃける全3回連載の2回目をお送りする。

「私、失敗したら辞めるので」が、フリーランスの掟
腕と度胸と携帯電話――あるフリーランス麻酔科医は、独立に必要な三種の神器としてこれらを挙げる

新研修医制度が大きな転換期
大学医局の衰退始まる

 私が医科大学に入学した昭和末期、日本の医療界は大学医局というシステムに支配されていた。その組織は「白い巨塔」とも呼ばれた。

「白い巨塔」とは1965年に刊行された大学病院を舞台にした人気小説で、田宮次郎が主演のテレビドラマが大ヒットしたのが1978年、唐沢寿明版が大ヒットしたのが2003年だ。いずれの作品とも封建的な大学医局がよく描かれている名作と評され、大学病院はこの間ずっと権威を保ち続けていたように思われた。

 当時、医大を卒業したての新人医師たちの多くは、そのまま母校の付属病院に就職し、封建的な徒弟制度の中でスキルを磨いた。大学医局の頂点に立つ「教授」は大学病院のみならず関連病院における医者の人事権を掌握し、絶対君主として君臨していた。

 しかし2004年4月、ドラマ最終回の翌月、新研修医制度(医師初期臨床研修マッチング制度)が始まり医局制度は大きな転換期を迎えた。医師免許取りたての新人医師は2年間、特定の医局に属さず、多数の科を回ることとなった。

 この制度変更をきっかけに、封建的な大学病院を嫌って、大学病院以外で研修する新人、都会の市中病院に就職する若手が増えた。これが大学医局の衰退の始まりだった。生命線であった「安定した新人供給」が断たれたのである。