新入社員を迎え、新たに部下を持つことになったビジネスパーソンも多いこの時期。部下との距離感に思いを巡らす上司に取って頭の痛い調査結果が発表された。日本生産性本部が行った調査によれば、「仕事で成果を上げたり、他の見本になる行動をとった部下」を約9割の課長が「褒めている」と答えたのに対し、一般社員の約半数が「上司は褒めない」と感じているという。調査ではこのほかの点に関しても、上司と部下の間で認識の差があることが明らかとなった。
調査期間は2011年6月~2012年2月。調査対象は、「日本生産性本部 経営開発部」主催の階層別教育プログラムなどへの参加者。有効回答数は、課長職478人、一般社員381人。
本当にコミュニケーションは取れている!?
不可思議な上司と部下の認識ギャップ
調査によると、冒頭の「褒めている・褒めていない」と同様に課長と部下で認識の差があるのは、「職場で有益な情報が共有されているか」について。「共有されている」と思う課長が68.0%なのに対し、一般社員は45.1%にとどまった。また、「部下または後輩が言いたいことが理解できる」という課長が88.9%と大半なのに比べ、「上司は自分のことを理解してくれている」と感じている一般社員は62.2%に。さらに、「部下または後輩の話をじっくり聴く」と答えた課長は85.6%だが、「上司は自分の話をじっくり聴く」と答えた一般社員は68.2%だった。
この結果から、多くの人が「上司と部下とのコミュニケーションは不十分である」と感じ取れるだろう。しかし、「部下または上司とコミュニケーションが取れているか」という質問については、取れていると感じている課長が79.9%、一般社員が68.8%だった。これに関しては、認識の差が比較的少なく、上司も部下も「コミュニケーションが取れている」と感じている人が決して少なくないようだ。
ただし気になるのは、部下に対して「褒めている」「理解している」「話を聴く」と答えている課長はどれも8割以上なのに対して「コミュニケーションが取れている」と答える課長が8割を下回ること。「上司としての責任は果たしているはずだが、何かしっくりこないところがある」。そう感じている上司は多いのかもしれない。