「『褒めてもらうとやる気が出る』なんて甘いこと言う奴は、一人前じゃないよ」
私が部下育成について話を聞くと、昔の上司はそう言い放ちました。確かに、昔は誰もが叱られて育ったもの。しかし、時代は大きく変わりました。イマドキの上司には、褒めて、褒めて、部下の意欲を高めることが求められているのです。
では、この変化についていけない上司はどうしたらいいのでしょうか。今回は褒めることが苦手な上司をテーマに考えてみたいと思います。
「褒められたい」若手が増加中!
未熟な部下でもうまく褒める方法とは
「人間の持つ性情のうちで最も強いものは、他人に認められることを渇望する気持ちである」
これは、アメリカの哲学者であるウィリアム・ジェームズの言葉です。この言葉にあるように、人は褒められるのが大好きです。自分の才能や成果を認めてくれる人に対して、無意識に「自分を分かってくれている」と好意を抱くもの。なので、人のいいところを見つけてそれを相手に伝えるという行為は、人間関係においての有効なコミュニケーション手法になります。
また、最近では、仕事のストレスを解消させるカギとして「(誰かが)自分の仕事を認めてくれること」を挙げる若手社員が増加中だといいます。彼らは、褒められることで自分の存在を確認しているようです。
実際に、「上司はもっと部下を褒めるべきだよね」と、多くのビジネスパーソンは褒めることの効用に気付き始めています。ですから、私の知人でもある祐川京子さんが書かれた『ほめ言葉ハンドブック』が大ベストセラーになったのでしょう。
ちなみに本書は、褒める相手や状況、目的に合わせた「正しいほめ方」を解説。褒め言葉が見つけにくい「成績が悪い部下」、仕事内容はまだまだ未熟な「若手社員」、プライドを傷つけないよう配慮が必要な「年上の部下」などを、どんな風に褒めると効果的か。また、外見・行動を褒めるとき、能力・人間関係を褒めるときにはどんな言葉がふさわしいか、など使える実例が数多く紹介されています。