医学部にいくような人はやはり都会から来ています。受験戦争に勝ち抜く人しか通らないからです。それで初期臨床研修制度が始まって何が起こったかと言うと、皆故郷、すなわち都会に帰るんですね。

推薦制度で地域枠
35人確保しないと地域医療が崩壊

――山梨大学で言いますと。

 初期臨床研修制度が始まる前は、結構な数が残ってくれました。100人いたら50人とか60人とか。

 制度が始まっても、私たちは優秀な大学になりたかったものだから、山梨県の学生をというより優秀な学生をとるポリシーを続けました。まあ残ってくれるだろうという思いもありました。だから結果的に山梨県からは5人ぐらいしかとっていなかった。制度が始まると、その人たちが残っても他の人は皆帰るみたいなことが起こりはじめました。これは危機です。

 なので、私たちは推薦制度で山梨県の学生をできる限りとる地域枠を作りました。過去には山梨県で将来働くと約束してくる県外学生の推薦枠もありましたが、結局残ってくれないのでやめました。今は1学年125人のうち35人が地域枠、90人が一般入試です。35人確保しないと地域医療が崩壊する。いろいろ議論しましたが、医療崩壊を防ぐにはこれしかないと。

 90人の一般入試枠は研究者になったり海外に出て行ったり。日本のためになる医師を育てたい。その中から少しは山梨県に残ってほしいと思いますが、なかなか現れてくれません。もうトレンドだから。「残るとダサい」みたいな感じのようです。

島田眞路(しまだ・しんじ)
1977年東京大学医学部卒業。山梨医科大学(現山梨大学医学部)皮膚科学教室助教授、東京大学医学部附属病院分院皮膚科科長・助教授、山梨大学医学部附属病院病院長などを経て、2015年から山梨大学学長。現在、日本皮膚科学会理事長なども兼務。