金融当局が見直しを求めている生命保険の代理店向け販売手数料。その取り組みを巡って、大手生保が今、激しいバトルを繰り広げている。(「週刊ダイヤモンド」編集部 中村正毅)

インセンティブ報酬自粛へ向かう中
メディケアがボーナス手数料の案内

金融庁が昨秋公表したインセンティブ報酬について問題提起し、見直しを求めているレポート金融庁は昨秋公表したレポートの中で、ボーナス手数料をはじめとしたインセンティブ報酬について問題提起し、見直しを求めている Photo Masaki Nakamura

「2018年度第一四半期ボーナス手数料のご案内」――。

 今年4月、そう記された1通の営業用資料に生命保険業界が一時騒然となった。作成したのは、住友生命保険の完全子会社、メディケア生命保険。乗り合い代理店に向けて、新年度の手数料体系について説明した資料だが、問題となったのは「ボーナス」の4文字だ。

 折しも生保業界は、金融庁の意向を受けて、代理店向けの手数料体系を見直している真っ最中。ボーナスと呼ばれる販売量に応じた手数料の加算行為(インセンティブ報酬)は、自粛に向けて各社が大きく動き出しているはずだった。

 にもかかわらず、住生グループが半ば堂々と自粛の方向に反するような資料を配ったことで、「率先垂範すべき(生命保険協会の)協会長会社がそんなことをしていいのか!」と、他の大手生保から一斉に声が挙がったのだ。

 中でも声が大きかったのが、協会の業務企画部会長を務める、日本生命保険だ。