モードを意識しなければ、社会にたいする態度が定まらない。モードは社会に向き合う態度と定義したうえで、服飾史家の中野香織さんはこういいます。ジェントルマンにとって態度(attitude)こそ要諦。時代感覚の見極めも重要。エグゼグティブのための最新モードを紹介します。
ブルゾン 20万3000円、Tシャツ 5万4500円、パンツ 17万4000円、バッグ 49万9000円(すべてベルルッティ)
PRADA(写真右)
ジャケット 28万8000円、カーディガン 10万5000円、シャツ 7万4000円、パンツ 10万5000円、ベルト 5万5000円、バッグ 23万7000円(すべてプラダ)※すべて予定価格
モードの革命家はいます。モードって、洋服のモードだけではなくて、時代に向き合う姿勢もまたモードというのです。いま、私はこういうモードです、というときのモード、そのモードを変えた人が、女性服の領域では、ココ・シャネルです。イブ・サンローランは女性にパンツスーツを着せてパワーを与え、ジョルジオ・アルマーニは管理職の女性にふさわしい威厳をはじめて与えました。
モードは社会に向き合う態度、と定義すると、モードを意識しなければ、社会に対する態度が定まらないことになります。とてもシビアなゲームですから、なまなかな態度ではこのゲームには参加できないとも言えますし、取り換え可能な装いのことだから気楽に参加しましょう、と呼びかけることもできます。
ひとつだけ気をつけてほしいことがあります。本当は軍服から発展したスーツのところで申し上げておくべきことですけれど、指示を出す立場のひとは首元をふらつかせてはいけない、ということです。だって、生きるか死ぬかの命令を出すひとが、「う~ん。どうしようかな~」なんて首を傾げていたら、命令を下されるほうもイヤでしょ。こいつにはいわれたくないな、となってしまう。それが一番のネックです。あ、おやじギャグ(笑)。
エグゼグティブのための最新モード04「BERLUTI」
実験的な二重露光や彩色加工で知られるドイツ出身の写真家アーウィン・ブルーメンフェルドの作品から着想を得た新作。シルクのジップアップブルゾンは、シャイニーな表地とコットンシルクの裏地とのコントラストが、かろやかな雰囲気を。ボトムスのスエットは、はき心地のよいシルクコットン製ダブルニットジャージ。
エグゼグティブのための最新モード05「PRADA」
ジャケットの包みボタンや襟の切り替え、ボトムスの側章など、フォーマルウェアのディテールがたのしいセットアップスーツ。ウールにモヘアを25%混紡させた独特の光沢は、オパールのようなくすんだピンク色。かんたんにモードな空気感をまとえる。