こうした金融マンの暴走は、マクロ的にも半ばパターン化されて何度も起こっている。記憶に新しいところでは、リーマンショックに代表される世界金融危機を生んだし、日本では1980年代後半のバブルにつながった。

 金融マン個人を含めた金融ビジネスの暴走を制御する方法がなく、その結果として起こる過剰な信用拡大によるバブルと、その後の不良債権問題を回避しにくいことは、現代経済の大きな弱点の一つだ。

「銀行の利益」を単純に信じるな

 スルガ銀行から融資を受けてシェアハウスのオーナーになり、後に苦境に陥ったオーナーの中には、「銀行が融資をつけるくらいだから、大丈夫な案件なのだろう」という推定に基づいてリスクを取った方がおられるようだ。

 しかし、前述のように、銀行員の利害と銀行の利害は異なることがある。

 銀行にとって長期的に損でも、銀行員にとって短期的に得になることなら、銀行員がそれを顧客に勧めることは、大いにあり得ることだと思わなければならない。

 加えて言うなら、「頭金ゼロ。家賃収入は保証します」という今回のシェアハウスの条件は、経済常識で判断して全く不自然だ。

 十分な低リスクで可能なら、シェアハウスを仲介した業者は、自分でオーナーになる方が儲かる。手間を掛けて、他人を勧誘したりしないのが普通だと推測できるはだ。

 本件に関わったオーナーたちがどのような補償を受けるべきか、あるいは受けなくてもいいのかは、司法に判断を委ねるべき問題だが、申し訳ないが筆者は、彼らに同情しない。

 付け加えると、オーナーたちに「専門家が、自分でやった方が儲かることを、他人に紹介するはずがない」といった当然の経済常識があれば、ここまで被害は広がらなかっただろう。こうした常識が、学校や社会に向けた広報を通じて広く伝えられていないのは、国家的な教育の落ち度だ。