終身雇用制は崩壊へ
副業解禁で企業の管理も難しくなる

 法律で定められているにもかかわらず、ウヤムヤにされがちな定期健康診断。今後、時短勤務や業務委託契約といった多様な働き方が増えてくると、これまで以上に従業員ごとに細かく管理しにくくなるはず。

「特に、18年は厚生労働省のモデル就業規則が変わり、原則として副業を容認する内容となりました。そうなると、終身雇用という考えからはいっそう遠のき、一つの会社内にさまざまな働き方をする人が多くなり、企業側も線を引いて一律に管理運用するのが難しくなってきます」

 副業解禁は建前上、労働者のスキルアップや満足度を上げる目的がある。だが、誰しもが副業解禁で恩恵を受けるわけではない。

「専門性や能力を生かしてフレキシブルに稼げる人にとっては、副業解禁は良い効果をもたらすでしょう。一方、企業の残業規制が厳しくなり、基本給も上がる見込みがない中、家計のために就業後や土日に労働集約型の業務に従事する人も出てくるのではないでしょうか。それだと、かえって総労働時間は長くなる恐れがあります」

 もし、週30時間×2社で週60時間働いたとしたら、その労働者の健康管理の責任はどの企業が負うことになるのか。

「従業員の健康管理は各企業が責任をもって行うものです。定期健康診断も法律に従って原則は各社で行う義務があるが、それぞれの企業がもう一つの勤務先の労働時間を知ったら、2社とも『他の企業で長時間働いているようだから、うちでは定期健康診断までは面倒見ませんよ』ということもあるかもしれません」

 副業解禁により従業員の労務管理は複雑になるが、1社で週30時間以上(週40時間労働の会社の場合)働く人の定期健康診断の実施義務は法律で決まっていること。使用者に申し出るのははばかられるかもしれないが、自分の身を守るためにも泣き寝入りするべきではないだろう。

「どうしても会社が実施してくれないとなれば、労働基準監督署に報告するのも手です。外部の機関から指導が入るだけでも効果はあるのではないでしょうか」

 働き方が変わりつつある今だからこそ、しっかりと権利を主張する必要があるのだ。