私は自分のいる場所がどこなのか分からなかったため、地元紙の男性記者に電話を入れ、見えている建物を伝えて助けに来てもらった。翌日、役所に来ていたその男性に、地元紙記者が「次同じことやったら、警察に突き出すからな」と言い、その件は終わった。その男性は地元で飲食店を経営する有名な人だった。

被害者:地方紙・記者 女性30代 相手方:役場幹部 男性

 人口約2万5千人の小さな町で記者として勤務していた2年前、取材先の男性からセクハラに遭いました。相手は50代後半の役場幹部だったため、しつこく飲みに誘われ、断りきれませんでした。スナックで体を触られたり「お前の裸が見たい」「裸で走れ」などと言われました。

 被害を直属の上司に申し出ましたが、相手側に抗議するなどの対応はしてもらえる事もなく、私もなるべく気にしないようにしていました。加害者が所属する部署を取材する際は、別の記者が担当してくれるよう配慮はありましたが、狭い街なので出くわす事もありました。嫌な記憶は消えず、加害者がいそうな場所をなるべく避けるようになり、取材活動にも影響が出始めました。数ヵ月が経ってから胸痛が出始め、病院でPTSDと診断されました。過呼吸や不眠、パニック症状などが起き始め、原稿の執筆量が激減してしまったため、診断書を出してもらい、半年後、内勤に異動させてもらいました。

 その後は働きながら、病気と闘ってきました。フラッシュバックや抑うつ状態が続き、手首を傷つけたこともありましたが、何とか休職する事はありませんでした。それまでは、ある程度仕事を評価されていたという自負もあっただけに、取材に行けない自分や、ハラスメントの被害に遭った自分を責め続けました。産業医の先生のサポートのお陰で徐々に回復し、去年の秋に寛解。しかし、後遺症は残り、例えば内勤の仕事は問題なくできても、取材先と飲みに行く事を想像しただけで怖くなってしまいました。

 他にも被害を受けた事があり、被害は特別起きたことではなく日常茶飯事だという事も分かっていましたし、飲みに行くのは記者にとって欠かせない仕事の一部ですから、そのような状態で記者を続けていくのは実質的には困難と考え、この春退職しました。今も福田事務次官のニュースをテレビで見ると、具合が悪くなる事があり、最近はあまりニュースを見ないようにしています。