タイミングよく、と言うべきか。イニエスタの移籍発表から一夜明けた5月25日には、2017年度におけるJクラブの経営情報がJリーグから開示された。Jクラブ経営の健全性と透明性を高めるため、Jリーグは決算を公表するスタンスを取っている。

 びっしりと並んだ数字の中で、注目したい項目が2つある。まずはその年度における企業活動の最終的な成果を示すバロメーターとなる「当期純利益」だ。

 発表された資料によれば、2017年度のヴィッセルは1億5500万円の赤字を計上。昨シーズンをJ1で戦った18チームの中で赤字となった4チームで、鹿島アントラーズ(1億3800万円)、アルビレックス新潟(5500万円)、ガンバ大阪(200万円)を上回る最多の金額となった。

 ヴィッセルが当期純利益で赤字を計上するのは2013年度以来、4年ぶりとなる。営業費用(支出)のうち年俸などの合計となる「チーム人件費」が、18チーム中で最多となる31億400万円に達したことが大きく影響していると見ていいだろう。

 2016年度決算を見れば、ヴィッセルの「チーム人件費」は20億6800万円だった。2017年度になって約50%も高騰した背景は昨夏にガラタサライ(トルコ)から加入した、元ドイツ代表FWルーカス・ポドルスキの存在を抜きには語れない。

 4年前のワールドカップ・ブラジル大会で「10番」を背負い、統一ドイツになってからは初めてとなる優勝を経験している32歳のストライカーの年俸は、日本円で6億円とされている。この時点でJリーグ史上最高だったが、イニエスタの年俸はポドルスキの5倍以上になる。

 営業収益(収入)の二本柱のひとつの「広告料収入」で22億2100万円から33億5200万円、もうひとつの「入場料収入」では4億2700万円から5億1400万円と、ヴィッセルは2017年度でそれぞれ数字を伸ばしている。

 トータルの営業収益52億3700万円は、浦和レッズの79億7100万円に次ぐJ1で2位の数字を弾き出した。しかし、営業費用の合計額も53億3700万円で上回り、そこへ営業外費用が加わった結果として、当期純利益で1億5500万円の赤字を計上した。

 もうひとつの注目したい項目が、経営の体力を示すバロメーターとなる「純資産」だ。ヴィッセルのそれはJ1では最少となる800万円で、2016年度の1億6300万円から大きく目減りさせている。机上の計算では、2018年度で900万円の赤字を計上すれば債務超過に陥ってしまう。

 各クラブがJリーグの舞台で戦うには、Jリーグから年度ごとに発行されるクラブライセンスが必要となる。発行条件は多岐にわたるが、中でも重要視されているのが経営であり、規約では(1)3期連続の単年度赤字、(2)債務超過――のいずれかに該当するクラブはライセンスを剥奪される。