加熱式たばこの健康リスクは?
FDAはPMIの主張を退ける

 加熱式たばこは市場に出回ってから日が浅く、自他が被る健康被害や長期的なリスクに関する科学的なデータはない。常用することで、がんなどの病気を引き起こすか否かを証明できるのは、10年、20年先の話になる。つまり、現時点では安全性も証明できないわけだ。

 しかも、主流エアロゾル()中に有害成分や発がん性物質が含まれているのは企業側も認めている。また、加熱式たばこを吸った時の呼気は有害物質を含んだエアロゾルであり、副流煙が発生しないからといって、受動喫煙リスクがないとみなすのは早計だろう。

 IQOS(I Quit Ordinary Smokingの略)の製造販売元である米フィリップ・モリス・インターナショナル(PMI)は、自社の資金提供による研究結果から「主流エアロゾルに含まれる9つの有害成分は、紙巻きたばこに比べ9割軽減された」と主張している。日本で展開する製品広告にも明記し、今年2月にWHO(世界保健機関)から「健康被害がないというミスリードを誘っている」と非難を浴びた。

 一方、米食品医薬品局(FDA)のたばこ製品諮問委員会はこの3月、同社の「有害成分は低減されている」という主張は認めたが、継続的に使用することで生じる健康リスクは低いという主張は退けた。すなわち「紙巻きたばこよりも健康被害が少ないたばこ」という売り文句を封じたのだ。

 今後、IQOSの米国での販売(2018年5月末現在、申請中)が認可されるにせよ、パッケージ表示や広告展開、ソーシャルメディアの利用や販売チャネルなどに対し、日本よりもはるかに厳しい制約が課せられると推測できる。

※エアロゾル:空気中に浮かんでいる微少な液体・固体の粒子(殺虫剤のスプレー、湯気、排気ガスなどの、いわゆるPM2.5)