ハームリダクションの落とし穴
次世代の“ゲートウェイ”に化ける可能性

 たばこ企業が加熱式たばこ、電子たばこの開発、販売に力を入れる背景には、世界的に吹き荒れる紙巻きたばこへの逆風と、ハームリダクションという方法論がある。

 ハームリダクションとは、薬物や特定の行動習慣に依存する患者に対し、より害が少ない方法や製品、環境を与え、自分への被害を軽減しようとするものだ。たばこ企業は、自社製品は有害で依存性を有すると認めたうえで、21世紀の生き残りをかけ、ハームリダクション(リスク低減)とスモークフリー(煙のない社会)を実現するプロダクトとして、加熱式たばこと電子たばこを導入したのである。

 ただし、たばこ製品は紙巻き、加熱式、電子式を問わず全て「常用で心理的・身体的依存を形成するニコチンを脳のニコチン受容体に“効率的”に届ける」ドラッグ・デリバリー・システム(DDS)に過ぎない。あらかじめ“ドラッグが充填された注射器”みたいなものなのだ。

 日本は“薬物を仕込んだ注射器”が24時間、コンビニエンスストアや自動販売機で購入できる摩訶不思議な国だ。その環境下でハームリダクションの効果はあるのだろうか。

「結局のところ、既存の喫煙者が加熱式たばこにスイッチしても、依存性物質であるニコチンを摂取し続けるだけですし、たばこ産業のニコチンビジネスへのダメージを防ぐプロダクトに過ぎません」と望月氏はいう。