米朝首脳会談の行方は「猪木vsアリ戦」を思い出すと予想がつく金正恩委員長とトランプ大統領のバトルはプロレスの「アントニオ猪木対モハメッド・アリ戦」に似ている Photo:木村盛綱/アフロ

政治もプロレス興行風

 北朝鮮の金正恩朝鮮労働党委員長と米国のトランプ大統領が、会談を行うのか否かが大きな話題になっている。

 6月12日にシンガポールで行われる予定とされていた会談は、5月24日にトランプ大統領が書簡で延期の意向を公表し、行われない見込みとなったが、その後、会談実施の可能性を探って米朝の実務者レベルでの話し合いが行われていることが公表されるなど、世間を右往左往させている。

 わが国の株式市場でも、「米朝会談中止か」というニュースが「地政学リスク」の高まりとして株価に影響するなど、この問題が材料化している。

 今回の金正恩・トランプ会談を巡る一連のやりとりは、もう40年以上も前に行われた(正確には1976年6月25日)プロレスラーのアントニオ猪木が当時ボクシング・ヘビー級チャンピオンであったモハメッド・アリと戦った「猪木・アリ戦」を思い出させるというのが、筆者の個人的な印象である。

 もともとトランプ大統領の話術が、プロレスのマイクパフォーマンス的であることは既に指摘されていたことだ。実際にビジネスマン時代のトランプ氏は、プロレス団体WWEに関わっていた時期があり、この際にプロレス風の話芸を学んだ可能性が大きい。観衆を熱狂させる話術なので、政治活動にとって効果は大きい。近年の彼の話し方は、彼の学歴や経歴を考えるとボキャブラリーがあまりにシンプル過ぎて、極めて意図的な「政治用」のものであることを感じる。