働きたいのに働けない引きこもりや高齢者を支援する、静岡県富士市の取組みとは
働きたいと思っているのに働けずにいる人をサポートしようと、全国で初めて「支援付就労」の条例を制定した静岡県富士市の取り組みは、どこが斬新なのか(写真はイメージです)

全国初の市条例から1年
「支援付就労」で蘇った人々

 年齢などに関係なく、働きたいと思っているのに働けずにいる人をサポートしようと、全国で初めて「支援付就労」の条例を制定した自治体の取り組みが注目されている。

 市が呼びかけた支援付就労に60社以上の企業が協力、事業がスタートして1年の間に、長年引きこもってきた人や75歳の高齢者の雇用が実現した。

 そんな「ユニバーサル就労推進条例」を2017年4月から施行したのは、静岡県富士市。ユニバーサル就労支援とは、当連載の記事でも取り上げた通り、「働きたいけれど働けずにいる人」を対象に、働けるようにサポートする仕組みのことをいう。

 同市では、この意味をさらに幅広い「支援付就労」に置き換え、年齢や障害者手帳の有無などに関係なく、就労ブランクが長い、引きこもり状態にある、コミュニケーションが苦手、といったすべての働きたい人が働くことのできる地域づくりをしようという趣旨で、この事業を始めた。

「若者支援、障害者支援などの従来の法律の枠組みでは当てはまらないグレーゾーンの人たちは、既存の福祉・就労サービスが使えない。そうしたグレー層も含め、本当は働きたいのに困っている人に何かできないだろうかと考えたのです」

 そう説明するのは、同市福祉こども部生活支援課の松葉剛哲上席主事。

 条例制定のきっかけは、2014年に障害のある子どもを持つ「ユニバーサル就労を拡げる親の会」から約1万9000人の署名を添えた要望を受けて、市議会が党派を超えた議連(発起人・大和田隆市議=当時)をつくったことにある。

 前例が何もない中で市が手始めに取り組んだのは、働きたい人が何でも相談できる“よろづ相談所”のようなものだった。そのためには、従来の縦割りだった役所の庁舎内で部署を超えて、横断的に連携する検討委員会を立ち上げる必要があったという。