皆さんこんにちは。三井住友アセットマネジメント調査部です。毎週土曜日に「ビジネスマン注目!来週の経済、ここがポイント」をお届けしています。
今週発表された4月の失業率と有効求人倍率によると、日本の労働市場は引き締まった状況が続いていることが示されています。合わせて、給与やボーナスが増えているとのニュースもあります。今回は、日本の労働市場に焦点を当てて、気になる賃金の今後について考えてみたいと思います。
失業率は1993年以来の低さ、
有効求人倍率は74年以来の高さ
まず労働市場の状況についてデータを確認します。総務省から発表された4月の労働力調査によると失業率は2.5%で、これは1993年8月以来の低さです。また、厚生労働省からの一般職業紹介によると有効求人倍率は1.59倍で、これは74年1月の1.64倍以来の高さとなっています。
今年の1-3月期の実質経済成長率は前期比で久しぶりのマイナス成長となりましたが、それまでは8四半期連続してプラス成長を記録しているように、長期にわたる景気拡大を受けて労働需要は着実に高まってきており、それが労働市場の引き締まりにつながっていると言えます。
労働需給の引き締まりに加え、
企業収益面も賃金増に追い風
人手不足は給与やボーナスといった賃金が高まるための重要なファクターですが、賃金を払う側の企業の懐具合にゆとりが出ることも重要です。そこで、2017年度の企業業績を振り返りましょう。
日本の上場企業の18年3月期決算では、純利益は前期比35%程度の増益(金融除く全産業)と大変好調なものとなり、過去最高益を更新しました(日本経済新聞社集計)。内外経済の拡大が続いていることに加えて、企業が事業再編などに取り組んできたことの成果があがっていると言えます。