◆宝くじの抜け穴
◇宝くじで儲かるのは「運」なのか

 宝くじで一等の当選番号を予測するのは不可能に近い。しかし意図的にある程度の利益を得ることはできる。

 当選者が出なかった場合、その賞金は次の回に繰り越される。このときあまり当選者が出ないと宝くじの売り上げが落ちてしまうため、運営会社は「ロールダウン」をおこなう。ロールダウンとは繰り越された賞金が一定の金額を超えた場合、賞金を一等の当選者一人に与えるのではなく、数字を3つか4つほど的中させた人々に分配する仕組みだ。ロールダウンが起きると、もらえる金額は少なくなってしまうものの、賞金を手にする可能性は格段に上がる。

 ロールダウンが起きるのは賞金が繰り越され、チケットが一定の売り上げになったときだ。そのため大量にチケットを購入して、意図的にロールダウンを起こすシンジケートが出現した。この方法は最初うまくいったが、大量のチケットを買うのには手間がかかる。さらにロールダウンのときにチケットを買う人が増えすぎたせいで、1枚あたりの賞金が減り、やがて成立しなくなってしまった。

 とはいえ宝くじを当てる方法は他にもある。しらみつぶしにできるだけ多くの数の組み合わせを買う方法などで、現在も利益をあげつづけるシンジケートは存在する。彼らは個人で利益をあげようとせず、会社を設立する。ある程度の資金が必要になるため、投資者を募り、当然納税のための申告もおこなう。ギャンブルの必勝法を探る活動は、個人の活動ではなく、いまや完全な事業へと移行している。

◆投資と化すスポーツベッティング
◇試合結果は予測不能なのか

 コンピューターやインターネットの登場により、ギャンブラーたちは膨大なデータへ簡単にアクセスできるようになった。試合の結果を予想するスポーツベッティングでも、データを利用して結果を予測するシンジケートが生まれている。

 とはいえあるチームがいい成績を収める可能性は計算しやすいが、特定の試合の勝敗を予測するのは非常に難しい。最終的な結果はチーム同士の相性やプレイヤーの調子など、偶然性に大きく左右されるからだ。

 この問題について研究しはじめたのが、ランカスター大学の研究者であるマーク・ディクソンとスチュアート・コールズである。彼らは問題を単純化するため、試合を通して各チームのシュートが決まるペースを一定にした。加えてそれぞれの時点で得点する確率も、その試合でそれまでに起こったことと無関係とした。

 ディクソンとコールズの考えは、「ホームチームの攻撃力」「アウェーチームのディフェンスの弱さ」「ホームアドヴァンテージとなる要因」の3つを掛け合わせれば、試合におけるチームの得点数が算出できるというものだ。そしてこの考え方に基づいた予測は、試合結果とかなり合致した。

 実際の試合結果は時間帯による選手の感情の変化など、より複雑な要素が関係している。しかしディクソンとコールズの研究成果は、スポーツベッティングの予測に大きな進歩をもたらした。