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親のカードで400万円使った子ども、
ヘソクリ全額150万円をつぎ込んだ主婦……
過消費する“フツー”の人々
――ソーシャルゲームの何が問題か【中編】

石島照代 [ジャーナリスト]
【第29回】 2012年4月18日
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 未成年者取消がこれほどまでに強い理由のひとつとして、「ネットビジネス全般に言えることだが、対面で確認していないので、法定代理人(親)の承諾があったと見なすことが難しい。このような難しさは法整備がされていないことも一因で、同意確認の妥当性がどこで担保できるのか現行法上では不明であることも挙げられる」(国民生活センター、相談情報部)。

 また、子どもが高額のアイテムを購入する場合は、親のクレジットカード番号が入っているスマートフォンを使うケースがほとんどだ。ECネットワークに寄せられた相談事例では「高校2年生の子どもが親のクレジットカードデータを5枚盗み見して、月に400万円使った」ケースもあったそうだが、この場合も未成年者取消がほぼ可能だという。

 「どのような場合でも、お子さんが使用して高額請求が来た場合は、請求に応じる前に、お近くの消費者センターに連絡してください」(沢田氏)

「子どもの貯金に手を出しそうになって我に返った」
独身時代の貯金全額150万円をつぎ込んだ主婦

 ソーシャルゲーム問題に関する認識共有は、家庭用ゲーム以上に難しい。たとえば、携帯ゲーム機を子どもが触っていたら、「あー、ゲームやってる」と分かるし、親であれば「遊んでばかりいないで、勉強しなさい」と叱りつけるかもしれない。

 だが、いじっているのが携帯電話だったらどうだろう。やっているのは、ゲームとは限らない。その行動の多様性と、「ログインしないと分からない世界」(国民生活センター)という閉鎖性が、ソーシャルゲームをやる人とやらない人の間の温度差を産んでいるようにも感じられる。つまり、「わたしには関係のない話」ということになってしまうというわけだ。

 そこで、過消費問題のリアリティを感じてもらうために、ソーシャルゲームに1年で150万円をつぎ込んだ主婦の話を紹介しよう。

 地方都市に住む主婦カヨコさん(仮名、41歳)は、3年以上続けたソーシャルゲームを今年2月に止めた。カヨコさんは就学前の子ども2人を産んだとは思えないほどの、若々しい女性だ。それなりの年収を稼ぐ夫のおかげで、悠々自適な専業主婦生活を満喫しており、ネットスラングで言う、いわゆる「リア充(実際の生活における、客観的な社会的勝ち組のこと)」に分類される。

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石島照代
[ジャーナリスト]

1972年生まれ。早稲田大学教育学部教育心理学専修を経て、東京大学大学院教育学研究科修士課程在籍中。1999年からゲーム業界ウォッチャーとしての活動を始める。著書に『ゲーム業界の歩き方』(ダイヤモンド社刊)。「コンテンツの配信元もユーザーも、社会的にサステナブルである方法」を検討するために、ゲーム業界サイドだけでなく、ユーザー育成に関わる、教育と社会的養護(児童福祉)の視点からの取材も行う。Photo by 岡村夏林

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ゲームソフトをゲーム専用機だけで遊ぶ時代は終わった。ゲーム機を飛び出し、“コンテンツ”のひとつとしてゲームソフトがあらゆる端末で活躍する時代の、デジタルエンターテインメントコンテンツビジネスの行方を追う。

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