クルーズ旅行が盛んになり
浮上した「訪日ビザ問題」
5月18日深夜、「ピースボート」という市民団体の企画で世界一周を旅しているクルーズ船「オーシャン・ドリーム号」がシンガポールを出航した。船は、アジアや地中海、ヨーロッパ、そしてカリブ海と全25寄港地を106日間でめぐる。サントリーニ島やバルセロナ、サンクトペテルブルグ、ニューヨーク、ハバナなど、見どころ満載の新航路とも謳われている。
翌日、船上で中国人乗客全員が会議室に集まり、記念写真の撮影を行った。シンガポールで中国人乗客が全員、乗船を完了したからだ。まもなく私の下にも、写真が送られてきた。
なぜこの写真が送られてくるのか。その話は今年1月まで遡らなければならない。
クルーズ旅行がブームになった中国には、世界のクルーズ会社が我先に進出しようとした。日本企業が運営するクルーズ船「オーシャン・ドリーム号」もその例外ではなく、数年前から中国市場に切り込んでいた。
こうした営業活動が功を奏し、中国人乗客は日増しに増えている。日本のクルーズ会社にとってはまさに「クルーズ新時代」が訪れたと言ってもおかしくはないほどだ。しかし、クルーズ旅行が盛んになればなるほど、中国人乗客の「訪日ビザ問題」が大きな課題としてのしかかってきた。