返事はするものの、Dさんの表情はこわばり、思い詰めた感じになって、今にも泣き出しそうな雰囲気になっている。C課長は決してきつい調子で注意したわけでもなく、ましてや乱暴に怒鳴ったりしたわけでもない。もしここで泣かせたら、周囲から「課長はDさんにパワハラしているのではないか」と誤解されかねない。Dさんの様子に戸惑ったC課長は、しどろもどろになりながらこう励ましたと言う。

「Dさんが一生懸命やってくれているのはわかってるよ。こっちも余計なこと言っちゃったかな。気にしないで頑張っていこう」

 その後もDさんは元気がなく、どう扱ったらよいのか困っているとC課長から相談を受けたA部長は、Dさんと個別面談を行った。

「Dさん、調子はどう?」

「私、何をしてもダメなんです。要領が悪くて……」と言う。このセリフを皮切りに、

「今の仕事、きっと向いてないんです」
「みんなの足を引っ張るばかりで、本当にダメなんです」
「自分がいても迷惑なだけです」

 などと、ネガティブなことばかり口をついて出てくるのである。

 A部長が励ましても、Dさんは涙ぐみ始めた。A部長は自分がいじめているかのような気持ちになり、ひたすら慰め、励ますしかなかったと状況を振り返る。

 A部長は「これではC課長が手を焼くのも無理はない。とても注意できる感じではないし、C課長が腫れ物に触るような扱いをせざるを得ないのももっともだ」と痛感したという。

軽く注意したはずなのに
なぜ相手はそんなに傷つきやすいのか

 このように傷つきやすい人の最大の特徴は、感受性が強すぎるということだ。神経過敏なのである。だから人のちょっとした言葉や態度に、過剰に反応してしまう。

 そのため、普通の人であれば特に何も感じない言葉や態度であっても、そんなタイプの人は非難めいたものを感じたりして、気に病んだり傷ついたりしやすいのである。

 感受性がそこまで過敏でなければ、ただ聞き流すような言葉や、「あっ、そうか、そこを気をつけないと」と平然と受けとめられるような言葉であっても、

「きっと呆れているに違いない」
「もうダメだ、見捨てられる」
「怒ってるんだ、どうしよう」

 などと動揺してしまう。