キリマンジャロ登頂、NASAでの無重力フライト、南極旅行……。「やりたい」と思ったチャレンジを次々と実現し、インプットにつなげてきたという大塚太郎・大塚倉庫代表取締役会長。彼が今目指しているのは、社員が「連続1ヵ月有給休暇を取る」という制度だ。社員が世界一周旅行をする、あるいは海外で在宅勤務を行う――。前回に続き小室淑恵・ワーク・ライフバランス社長を前に語った、「その先」に見える新しい働き方とは。(まとめ/アスラン編集スタジオ 渡辺稔大、撮影/内藤洋司)
いいインプットが
いいアウトプットにつながる
小室 太郎さん(大塚太郎氏、以下同)、2005年にキリマンジャロに登頂して、06年にNASA(アメリカ航空宇宙局)で無重力フライトを体験し、08年には南極旅行をしてましたよね……。太郎さんほど私生活が充実している人をなかなか見たことがありません。そのことは、働き方改革をブレずに進めることができていることとも関係していますか。
大塚倉庫代表取締役会長。1974年生まれ。慶應義塾大学商学部を卒業後、1997年、大塚製薬に入社。オロナミンCブランドマネージャー、ポカリスエットブランドマネージャーなどを経て、2008年、大塚ベバレジ代表取締役社長、2011年、大塚倉庫株式会社代表取締役社長に就任。2014年から現職。ヒューマンライツウォッチ東京委員会理事、世界経済フォーラムの選出するヤンググローバルリーダー2013に選出されるなど多方面で活動
大塚 僕自身、「仕事も遊びも一生懸命」をモットーにしています。社会人になって仕事を一生懸命やるのは当然として、その上でどうやって上質な遊びで視野を広げていくかが非常に大事です。だから働き方を変えることで、社員のインプットの機会を増やしたいというのが一番大きいんですよね。
小室 なるほど。残業時間を削減できるかどうかではなくて、その結果としてどれだけ仕事外の時間でインプットをできるかが重要ということですね。
大塚 ドライバーの待ち時間を半減させたり、業界を巻き込んで働き方改革を広げたりするアイディアは、たぶん経営学のセオリーでは教えてくれないような手法だと思います。僕自身に社外でインプットできる機会が豊富にあったからからこそ、出てきた発想なのだと思っています。
働き方改革をしてから、社員からも「これは面白い」というプランが上がってくるようになって、それはすごく嬉しいですよね。