勤怠状況は、ビルのゲートの入館・退館ログ、パソコンのオンオフのログの一覧表と自己申告でチェックする。一覧表では、翌日、前日の勤務間インターバル時間数が自動的に表示される仕組みを作った。同社では、時間短縮勤務・変形労働時間制・テレワーク勤務制度(在宅勤務)等、多様
な働き方を認めている。

裁量労働制でも労働時間を把握
会社は社員の健康に責任を持つ必要がある

 KDDIにおける裁量労働制と勤務間インターバル制度の導入では、会社側(経営陣・人事部)および、労働組合による労使間交渉が何度も展開されたという。

 会社が裁量労働制を提案した目的は、ホワイトカラー中心の企業であることから「働いた時間ではなく、成果をより重視した働き方へ意識を変革し、自己の裁量性に基づく自律的・主体的な働き方を推進すること」だった。

 総務・人事本部人事部給与リーダーの茂木(もてき)達夫さんは、こう説明する。

「社員が一番効率的な働き方をして、成果や収益に結び付けることができるのであれば、本来、働き方はもっと自由であっていいという考え方のもとで始まりました」

 これに対して、労働組合が勤務間インターバル制度導入を要求した。当時、KDDI労働組合中央執行委員(現在は情報産業労働組合連合会政策局長)を務めた春川徹さんは、こう振り返る。

「組合内で『自己の裁量とはいえ、結果を導き出すために時間を費やすことが起こりうるため、むしろ長時間労働のリスクが高まるのではないか』と懸念の声が上がりました。そこで、組合員の健康措置として勤務間インターバル制度を導入すべきと交渉を進めました」

 KDDIが加盟する情報産業労働組合連合会(情報労連)は「誰もが仕事と生活の両立を果たし、市民社会との協力や協働に費やせる自由時間の創出をはかる(時間主権の確立)」を提唱し、2009年から「勤務間インターバル制度」の導入を推し進めてきた。

 このときは、会社側からも「裁量労働制では、仕事のコントロールや時間管理を、ある程度、社員の判断に任せることになる。だが、会社は社員の健康に責任を持つ必要があるため、働き過ぎないように裁量労働制の対象者に限定して勤務間インターバル制度も取り入れる」と回答があった。