一生歩けなくなる…突然の車いす生活になぜ絶望しなかったか?YouTuber渋谷真子さんの「超ポジティブ思考」がすごい車いすYouTuberの渋谷真子さん 写真提供/本人
*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2026」の「INTERVIEW『新しい時代』の生き方、働き方」を転載したものです。 

エンターテインメント分野でのバリアフリー推進や地域活動など、多彩な活動で、車いすユーザーの「リアル」を発信するYouTuberの渋谷真子さん。「就職試験やアルバイトの面接では一度も落ちたことがない」と言う彼女が、日々心がけている「超ポジティブ思考」を語る。(取材・文/ライター 奥田由意)

格好悪い動機でもいい
一歩を踏み出すことが大事

 山形県鶴岡市・田麦俣で生まれ育った渋谷真子さんは、高校卒業後、地元のカメラ工場や新聞社に勤務した後、2018年に父の家業を継いで茅葺(かやぶ)き職人を目指し、見習いに励んでいた。しかし同年7月、古民家の屋根を修理中に足場から転落し、脊髄を損傷。車いすユーザーとなった。

 渋谷さんは、いわば「超」ポジティブ思考の持ち主だ。事故に遭った瞬間に「これは一生歩けなくなる系」と直感し「救急車が来るまでせっかくだからこの光景を自撮りしておこう」と考えた。

 また、「歩けなくなる」と言われても「車いすユーザーのお手本を探そう」と、即海外のSNSで車いすユーザーの女子が発信する自撮り写真を検索した。  

 現在は「現代のもののけ姫 Maco」と名乗り、YouTuberとして、排せつや性といったタブーにも切り込む障がい者の生活のリアルをはじめ、海外旅行、スカイダイビングなどさまざまな活動への挑戦や社会への提言を発信し続け、約12万人の登録者数を誇る。

 そんな渋谷さんも高校卒業後は明確な目標もなく、なかなかやりたいことが見つからなかった。