「家事のついで」じゃ無理!前代未聞の“洋画のような朝ドラ”が今受け入れられるワケ〈ばけばけ第53回〉『ばけばけ』第53回より 写真提供:NHK

今日の朝ドラ見た? 日常の話題のひとつに最適な朝ドラ(連続テレビ小説)に関する著書を2冊上梓し、レビューを続けて10年超えの著者による「読んだらもっと朝ドラが見たくなる」連載です。本日は、第53回(2025年12月10日放送)の「ばけばけ」レビューです。(ライター 木俣 冬)

ヘブンの過去が明かされる!

 梶谷(岩崎う大)からリヨ(北香那)がヘブン(トミー・バストウ)にプロポーズすると聞いて、トキは矢も盾もたまらず花田旅館を飛び出す。

 その頃、リヨは「先生をお慕いしているので松江に残って夫婦になってもらえないか」(通訳:錦織〈吉沢亮〉)とヘブンに申し込んでいた。

 トキは花田旅館を出てどこへ――。サワ(円井わん)の家だ。「落ち着けんのだわ」とサワにすがる。

 サワは学校をどうした。トキはヘブンが留守だから旅館でお茶をしていたのか。と思うと、この日は休日に違いないと思う。県知事が家にいる時点で休日だ。

 知事である父は認めていないが、私は本気と詰め寄るリヨ。

 真剣なのはヘブンに伝わった。「真剣に話す」とヘブンも真剣。

「はじめて話す わたし こと」

 今日のアバンはここまで。約3分。

 主題歌明け。ヘブンは、錦織の通訳つきで「私の半生」を語り始める。

 それは以前、クイズ形式で明かした彼の半生とは全く印象の違うものだった。クイズのときは楽しく聞いてしまったが、ここでは重たい。

 ヘブンはギリシャで生まれ、アイルランドに渡り、ロンドン、フランス、アメリカと転々として、日本に流れついたようなもの。

「松江での暮らしも長くはない」「それは私の宿命だ」

「居場所を定められないのは私の宿命なのです」と悟ったようなヘブン。

 居場所を定めることを恐れている彼に「やってみなきゃ」と迫るリヨ。

「やった」と返すヘブン。

「一緒になったことがあります」

 かつてアメリカで結婚したことがあったというヘブン。

 たぶん、リヨはびっくり。錦織もびっくりだろう。

 そこから舞台はアメリカのシンシナティに移る。別のドラマがはじまったかのような雰囲気にガラリと変わる。