4月の医療費改定で
薬局の「基本料金」が変わった
書店で本や雑誌を買ったり、スーパーで食品や雑貨を買ったり、日常生活での買い物は自分が欲しいものを選び、値段を確認してお金を支払うはずだ。
だが、医療は、そうした手順で事が運ばない。
病院や診療所、薬局では、利用する患者が「欲しいもの」ではなく、医師が患者を診察し、医学的見地からその患者に「必要だ」と判断した治療や医薬品が提供される。そして、医師が行った治療や処方した医薬品にかかったお金が、健康保険組合や患者に請求される。つまり、どのくらい医療費がかかるかは、医療機関に行ってみて、治療を受けてみなければわからない。
幸い、日本は公的な健康保険で医療費がカバーされているので、莫大な金額が患者本人に請求されることはない。だが、そうした仕組みが、皮肉にも「自分が使った医療費の総額がいくらなのか」「何にいくらかかったのか」を患者自身が考える機会を奪ってきたことは否めない。
そのため、この4月の医療費の改定にも気がつかず、窓口で請求されたお金をそのまま払っている人も多いのではないだろうか。
ここ数年の診療報酬改定では、高齢化社会に対応する医療体制を整えるために、在宅医療に力を入れている病院や診療所、薬局の報酬を引き上げており、患者が支払う自己負担分にも影響が出ている。
そのひとつが薬局の基本料金で、どのような薬局に行くかによって、1回につき最大90円(3割負担の場合)の差が出るようになった。だが、薬局で支払うお金は、この基本料金だけではない。複数の要素で構成されているため、基本料の低い薬局に行けば、必ずしも薬代が安くなるわけではないので厄介だ。