結論から言うと、お客さまは短い睡眠をとっていたのです。
本物のお金持ちに共通していたのは、短い睡眠を定期的にとっていることでした。忙しいスケジュールの中でも時間ができるたびに睡眠をとっているようでした。
お部屋の掃除はチェックアウト後だけでなく滞在中も行いますから、お客さまがお部屋にいたり仕事中の時でも清掃におうかがいすることも多々あります。
あるお金持ちのお客さまからは、
「掃除してくれてかまわないから、15分たったら起こしてくれる?」
とリクエストされたこともあります。
そして、お客さまは瞬時に眠りに入られたのでした。
そんな時はもちろん、清掃するにもなるべく音を立てないように注意を払いましたが、お客さまはボクがいるのもどこ吹く風といった感じでぐっすり眠っているようでした。
その様子に、さすがに起こすのも気が引けるなぁと思いつつ、「時間が来たら、どうやって起こそう?」とボクが悩んでいると、アラームが鳴りました。
すると、お客さまはボクが起こす間もなく、ご自分でスパッと起きたのです。
「あ、ごめんね。アラームを設定していたんだけど、念のためお願いしたんだ。ありがとう」
お客さまはそう言うと、またデスクに向かって仕事を再開されたのでした。
「どんなポジションにいようと、時間管理はおこなえる」とは、『天国おじい』の中でボクに実に重要な成功の秘訣を教えてくれた億万長者のエリックさま(仮名)の言葉ですが、これには、オン・オフのメリハリをつける時間管理の大切さだけでなく、別の理由もあるようです。
スパッと起きて仕事を再開したそのお客さまが言うには、
「誰でも集中力や体力には限りがあるから、リセットするためにも、次の仕事に取りかかる前なんかには少しだけ寝るといいんだよ」
とのことでした。
つまり、自分の限界をしっかり把握しているわけです。
誰でも、この後に何をしなければいけないのか? そのためにどうしたらいいのか? までは容易に考えが及ぶものです。
しかし、おじいはこう教えてくれました。
「それだけだと、無理がくるから効率が悪くなる」