外資系高級ホテルで働いていた実話をもとにした物語『天国おじい』では、成功を焦るあまりに借金漬けにおちいった青年の人生がその後どう展開していったかを描いています。
真面目に働いていたはずなのに、思いがけない失業で借金を重ね、起業しようとするも資金を持ち逃げされて無一文となり、おまけに原因不明の皮膚病にかかったりで仕事もままならず……。
そこで人生一発逆転を狙って、自己啓発やスピリチュアルにはまりまくったタイチ。
しかし、おかげで人生が好転するどころか、借金してまでセミナーなどに通いつめ、つぎ込んだ結果、借金は600万円にまでふくれ上がった！
「頑張れば結果が出るなんてウソだし、人生は不平等だ！」
そんなこんなで八方ふさがりになった主人公・タイチに、ある日突然、あり得ないことが起こり、以来、人生が好転していくことになったのです。
そのあり得ないこととは……死んだ祖父「おじい」の声が聞こえてきたのです！
その声は折に触れ、タイチの質問に答え、叱咤激励してくれるようになりました。
アルバイト先の高級ホテルで本当に出会った、本物のお金持ちたちとのエピソードなど興味深い話が随所に織り込まれた物語は、読むだけで人生を好転させるために必要なことが理解できます。
今回は、本には収録しきなかったエピソードを紹介します。
なぜ、本物のお金持ちには、
超早起きな人が多いのか？
石川大智（いしかわ・たいち）1975年生まれ。設計職として企業に就職するも自己啓発やスピリチュアル関連のセミナーや講座に通いつめ借金を重ね始める。2008年、リーマンショックの影響で失業。知人の裏切り、原因不明の皮膚病などの不運に次々見舞われ、さらに増える借金に行き詰まっていたところ、「成功するにはお金持ちの実態を知ればいい」と思いつき、2010年より外資系高級ホテルでアルバイトを始める。そこでのお金持ちたちの実態に、それまで信じてきた自己啓発やスピリチュアルのノウハウに疑問を持ち始めたところ、2011年、死んだ祖父との対話が突然始まる。この対話を紹介したブログがライブドアブログ「哲学・思想」カテゴリ1位を獲得。2016年にホテルを辞め、現在はかつての自分のように人生に悩む人々を対象にカウンセラーとして個人セッションやセミナーなどを主宰している。〔イラスト：©shoyu〕
ホテルにはレストランやラウンジ喫茶があり、シェフやスタッフの出勤の関係もあって、だいたい6時半～7時のオープンが一般的なのですが、オープンと同時にやってくるお金持ちが多かったという記憶があります。オープン10分前から入口で並んで待っているということもありました。
そして、オープンして席に着くなり、その席に宿泊のお客様ではないと思われる方々が続々とやってきて、ビジネスの話や情報交換をし合っている場面をたびたびお見かけしました。
ホテルによってはレストラン担当ではないスタッフも早朝の時間にレストラン対応をすることがあるので、ボクもたびたびレストラン対応をしましたが、特に聞き耳を立てているわけではありませんでしたが、ビックリするような規模のビジネスの話が聞こえてくることがあり、
「そんなスゴイ話をこの時間からしているんだ！」
と驚いたことも一度や二度ではありません。
本物のお金持ちたちがお付き合いするお金持ちたちも早起きということのようです。それがお金持ちの特徴なのでしょう。逆に言えば、そうでなければお金持ちとは付き合えないのかもしれませんね。
じゃあ、そんなお金持ちたちは、レストランのオープンに合わせて起きているのかというと、実はもっと早くから起きていることがほとんどでした。
本物のお金持ちは、とにかく朝のスタートが早いのです。
ホテルでは毎朝5時くらいに新聞をお部屋に届けますが、その時点ですでに起きてシャワーやお風呂に入って身支度をすませていたり、早朝にホテル周辺をジョギングしたり散歩したりして一日をスタートさせているお金持ちもいらっしゃいました。
ボクの印象に強く残っているのは、「毎朝4時にモーニングコールしてほしい」と依頼してくる常連のお客様です。
そのお客さまは、きっかり7時に「ファックスして」とフロントに書類を持ち込まれるのですが、いつもその書類には社員や従業員への指示や改善策などがビッシリと書かれていました。普通の人が起きて出勤する頃には、お金持ちたちはすでにひと仕事終えている、というわけです。
つまり、本物のお金持ちは早起きで、早朝という時間の効果的な使い方を大切にしています。
「早朝が一番集中できる時間だから」というのはよくいわれるかもしれませんが、コトの本質は別にありそうです。
