また、今後伸びるのはやはり中国、東南アジア、インドなどの海外市場。これらの国は自国の成長のために自国産化(自国内での鉄鋼生産)を求めてくる。米国のような保護主義化の動きもあります。こういう、世界各国の生産体制をより深化させていくべき大きな流れの中では、日本発の製鉄会社だということがクリアに伝わらなくてはなりません。

 具体的に考えていったら、「日本」だと。瑞穂でも大和でもよかったんだけど、まぁニッポンでしょうね、となったわけです。

──「しんにってつじゅうきん」と間違えられちゃうこともありましたしね(笑)。

 結構多かった(笑)。合併から5年たち、うまく融合も進んだので、変更するにはいい時期かなと。

 12年に合併した後は、中国の過剰能力・安値輸出が極大化して市況が落ち込んだ上に、石炭、鉄鉱石という主原料が高騰しましてね。逆に原油価格は暴落して、エネルギー関係の需要が相当落ちた。14~15年の環境を考えると、この合併がなければ大変な時期を迎えていました。

 一方で、そういう環境だったからこそ、両社の業務システムや営業戦略の統一を早く進めなきゃ生き延びられないという共通認識が生まれた。それが融合を加速したという面もあると思います。

──6月下旬に、8人の代表取締役が全員、新日鐵出身者になる予定です。「対等の精神」という合併時の建前がある中、どうマネジメントしてきたのですか?

 何においても、機械的な数のバランスを保とうとか、妥協して足して2で割ろうとか、そういうことは絶対にやらない、“仕事最優先”を心掛けてきたつもりです。

──先ほどオバコ買収の話が出ましたが、世界最大の鉄鋼メーカーであるアルセロール ミッタルと共同で、破産したインドのエッサール スチールの買収にも動いています。どちらも上工程(半製品である粗鋼を造る)を持つ鉄鋼メーカーです。従来は、海外には下工程(粗鋼から鋼材を造る)しか持たない主義だったのでは?

 それはその通りでしてね。というのも、上工程はどこで造ってもコスト構造は変わらない。主原料は限られた調達先からドルベースで買ってくるわけですから。しかも、上工程は世界的に過剰な能力を抱えていました。