筆者のダイヤモンド・オンラインでの前稿5月15日付「安倍外交が限界露呈、支持率回復の頼みの綱も『成果ゼロ』」で書いたように、安倍政権は、自身が掲げた政策目標が失敗し、森友・加計問題などの「疑惑」が表面化して支持率が落ちるたびに、北朝鮮の脅威などをあおったり、「外交」で各国首脳らとの「密接さ」を演出したりして政権への求心力を維持しようとしてきた。

 トランプ大統領との「ゴルフ外交」はその典型だが、肝心のトランプ氏の行動様式を理解できていないので、北朝鮮問題では完全に外され、貿易問題ではかえって大幅な譲歩を強いられる結果に陥っている。

 安倍首相にはディールの成功体験がなく、方法論すら持っていないように見える。これでは交渉にならず、相手の言うがままにされていくのは当然だろう。

 北朝鮮問題では完全に「蚊帳の外」に置かれているのは明白だ。朝鮮半島をめぐる「6者協議」の国で、唯一、過去に北朝鮮との首脳会談を拒否してきたのは安倍政権だけだ。

 総選挙を控えた昨夏には、「Jアラート」を繰り返し鳴らし、「最大限の圧力」を叫び、イージスアショアなどの攻撃的兵器の導入を決定し、北朝鮮の脅威を憲法「改正」論に利用してきた。

 自らのロシア訪問中に、トランプ大統領が、例のディールの手法で、米朝首脳会談の「中止」を言った際にも、即座に「世界でたった1ヵ国」だけ支持を表明する始末だった。直後、北朝鮮側が核実験場を爆破して閉鎖し、拘留していた米国人を釈放して譲歩してくると、トランプ大統領は一転して会談実施へと動いた。

「緊密に連携」していると繰り返してきた安倍政権は、完全にはしごを外された形である。

 森友・加計問題で厳しい追及を国会で受けている最中の6月7日に慌てて訪米したが、安倍首相に対してトランプ大統領は「拉致問題を提起すると約束した」としたものの、結局、自ら交渉せざるを得ないことになった。

 だが、これまでとってきた強硬姿勢から見ても、安倍政権が日朝交渉で成果を上げられるかは疑問だ。

 そもそも外交能力に欠けている。対話路線に変わっても、圧力一辺倒だった安倍政権には北朝鮮との太いパイプはなく、少なくとも再度の米朝会談が開かれる予定の9月までに成果を出すことは非常に困難だろう。