複数のデジタル雑誌が「読み放題」というサービスがスタートした。その名は、「ネクストイシュー」。アメリカの雑誌出版社大手5社が共同出資したものだ。

 ネクストイシューを運営しているのは、タイム、ハースト、コンデナスト、メレディス、ニュース・コープという、どれも有名な雑誌をかかえる出版社である。この5社がネクストイシュー・メディアという新会社を設立し、同社がこの新手のニューススタンドを運営することになった。すでに以前から一部のサービスをスタートさせていたが、さる4月初頭に「読み放題」モデルを開始して、話題になっている。

 読み放題のしくみはこうだ。

 このニューススタンドに並ぶのは、合計32種類の雑誌。月刊雑誌もあれば、週刊誌や隔週発行の雑誌もある。各社が数種類ずつ出品しているようで、『タイム』、『ピープル』、『ヴァニティーフェア』、『ニューヨーカー』、『フォーチュン』、『エル』、『エスクワイアー』など、日本でもよく知られた人気雑誌も含まれている。

 読み放題モデルは2種類ある。ベーシック・プランは月刊誌、隔週誌を毎月9.99ドルで読み放題できるもの。32誌のうち26誌までがこの対象になる。プレミアム・プランになると、週刊誌も合わせた全32誌が毎月14.99ドルで読み放題になる。

 新聞と同じように、インターネットでコンテンツが無料で提供されてきたアメリカの雑誌は、デジタル時代を生き延びるためのビジネスモデルを模索し続けてきた。ビデオを盛り込んだり、3次元画像を統合したりといったマルチメディア型雑誌も数々試された。ジニオやアップルのiPad、アマゾンのキンドル用など、外部のニューススタンドにも出品した。そして、ここへ来て出てきた最新のビジネスモデルが、この読み放題なのである。

 32種類もの雑誌が読めて、たったの14.99ドル(1200円)とは! 日本で月刊誌を1部買いしただけでも1000円を超えることを考えると、これは、メチャ安。早速申し込もう、と思われるだろう。だが、意見は分かれている。

 まずは値段だ。日本と違って、アメリカでプリント雑誌を定期購読すると、ウソかと思うほど安い。今なら年間数ドルから15ドルくらいの間で、月刊誌や週刊誌が手元に届くのだ。これは年間の購読料なので、それに比べると、ネクストイシューの月間購読料は高い。すでに15種類ほどのプリント雑誌を年間購読している読者でないと、得にならない計算だ。