「地頭」を鍛えたいと思っても、今さら変えられないものと思われがちだ。だが、多くの社員を育成してきた東証プライム上場社長の木下勝寿氏は新刊『地頭スイッチ』で、「地頭はセンスではない。スイッチの押し方さえわかれば変えられる。AI時代になればなるほど『地頭』が重要になる」という。「仕事ができない中でも一番マズイ人」とは? ライター小川晶子氏に寄稿いただいた。(構成/ダイヤモンド社・寺田庸二)

仕事ができない中でも一番マズイ人の特徴・ワースト1Photo: Adobe Stock

「すぐに人に聞くな」と言われたけれど

新入社員の頃、
「すぐ人に聞くのではなく、まず自分で考えてみて」
と言われることがあるかと思えば、
「勝手に進めるのではなく、先輩や上司に確認するのを忘れないように」
と言われることもあった。

今では、どちらも正しいとわかるのだが、右も左もわからない新人の頃は「どっちやねん!」と思ってしまう。
「すぐに人に聞くなと言われたから自分で考えたのに、それをあとから見せたら『それは教えてない! 早く聞け』と叱られるなんて……」

確認を怠ってはいけない

地頭をよくする考え方を示した本『地頭スイッチ』(木下勝寿著)には、この問題について明快に書かれている。

本書のストーリーに登場するAくんは、上司から「安易に人に答えを聞かず、自分の頭で考えてください」と叱られてしまうのだが……。

ここで、どうしても区別しておきたいことがあります。
「他人に聞く」と「確認する」はまったく別の行為だということです。
知頭モードで聞くのは「答え」。「どうやるんですか?」「正解は何ですか?」と聞きます。
一方、地頭モードで聞くのは「確認」。目的・目標、現状認識が合っているかをすり合わせる質問です。
――『地頭スイッチ』より

「知頭モード」とは、知識をため、記憶する頭の使い方のことで、地頭スイッチが入っていない状態を指している。
いわゆる「地頭がいい」と思われる人の頭の使い方である「地頭モード」では、答えを聞くのではなく「確認」するというのである。

たとえば「今回の目的は、売上を伸ばすことで合っていますか?」
「今回の目標は、こういうことを想定していますが、OKでしょうか?」
と確認する。

こうした「確認」を怠ると、認識がずれたままタスクを進めてしまい、危険な状態になってしまう。

わかったふりが一番マズイ

「すぐに人に聞くな」という言葉をそのまま受け取り、わからないことを「わからない」と言えなくなるのが最もマズイ。
わかっていないのに「わかりました」と言い、ズレたことをやって問題発生。
でも「すぐに人に聞くな」って言われたし……などと思っている本人はなかなか改善できないのである。
「わかっていないと思われる=評価が下がる」と感じて、本来必要な確認さえ避けてしまう人は認識を改めなければならないだろう。

改めて整理すると、こうなる。

「すぐに答えを人に聞こうとするな」
「目的・目標、現状認識すり合わせのための確認を怠るな」

さらに本書では、一番難しいとされる「現状の確認」について詳しく解説されている。

現状の確認とは、目の前の情報や事実を整理し、全体の構造をつかむこと。要素がいろいろあるため、慣れていないと簡単ではないかもしれない。そこで、構造をつかむために便利な「型」を紹介している。
関心のある人はぜひ本書で確認してもらいたい。