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 育児には神話がある。また、周囲の友人や口コミサイトからの情報に溺れ、真偽を判断する余裕もない。情報に溺れることなく、なるべく子どもと過ごす時間を増やしたいのだが、子どものためにやるべきことは尽きない。ギリギリまで手抜きしてズボラに育児がしたいが、それで、ちゃんと育児やっているんだろうか、できていると思えるのだろうか、悩む。

『3000万語の格差 : 赤ちゃんの脳をつくる、親と保育者の話しかけ』
作者:ダナ・サスキンド
翻訳:掛札逸美
出版社:明石書店
1944円

 そんなふうに自分もなるんだろうなと、悲観的なシナリオを子どもの誕生前に考えていた。そんなときに原書『Thirty Million Words』を発見した。私の育児はこの本に書かれた科学と実践によって、楽しむことができ、シナリオ通りに育児は大変だが、のらりくらりと乗り越えることができている。前置きが長くなったが、本書について、紹介したい。

 魅力はたった一つである。多忙な育児の中でも、0円で、すぐに、誰でも行動に移せることだ。

 背景にある研究は、トッド・リズリーとベティ・ハートによる「The Early Catastrophe: The 30 Million Word Gap by Age 3」である。

 3つの異なる社会経済レベルに属する家族とその子どもを生後9ヵ月から3歳まで追跡観察した。毎月1度、1回あたり1時間、観察者が録音し、観察ノートをつけた。その膨大な量を分析することに3年間、2万時間を要した。この研究が行われたのは、1970年代だった。そして、研究結果はごく単純であった。